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存在感を増していくホールディング経営投稿日 | 2022.1.20

後継者の不在

日本の高齢化の進展に伴い、経営者の高齢化も進む中で中小企業の事業承継は社会的な課題として認識されていると言われて久しいです。

中小企業白書2021年度版における経営者年齢別の後継者不在率のデータを見ると、60代では約半数となる48.2%、70代では38.6%、80代以上でも31.8%と、経営者年齢の高い企業においても後継者不在企業が一定程度存在している実態を確認することができます。

事業承継の方法として、親族内承継、社員承継(親族外承継)、M&Aを含む第三者への承継の3つがあります。そのなかで、親族内承継の割合が減少する一方で、社員承継と第三者承継の割合が増加しています。

中小企業の多くは非上場企業であり、創業家がオーナーとして大株主であることが大半です。事業承継によって企業を存続させていくには、株主と経営者が異なるケース、すなわち企業の所有と経営を分離させて事業継続することを検討することが増えていくと想定されます。

 

事業経営に求められること

事業経営の話になりますが、事業の経済性に「規模の経済」「範囲の経済」「速度の経済」があります。

「規模の経済」は、製品・サービスの生産量が増えるごとに、単位あたりの固定費が減少して平均費用が下がることですが、多くの業界において顧客ニーズが多様化する中では応用を効かせにくい面があります。

「範囲の経済」は、複数の事業活動をすることで、単独で事業活動しているときよりも経済的な事業運営ができることです。いわゆる「相乗効果」を発揮させることができます。

そして「速度の経済」は、スピードを上げること、早いことによって利益を得ることです。情報技術の進展などによりビジネスのスピードが上がっている現在、速度を上げることは必要条件となります。

国内において経営者が減少するなか、経済を維持成長させていくためには、「範囲の経済」と「速度の経済」を効かせることと経営者を生んでいくことの両立が必要です。

その解決策の一つとして挙げられるのが「ホールディング経営」です。

 

ホールディング経営の活用

ホールディング経営とは、持株会社を活用した経営のことです。持株会社のもと、複数の事業会社を経営する組織形態です。持株会社がグループ全体の方向性を定め、かつ内部統制をする役割を果たします。

そして、各事業会社が独立して単一の事業を経営することで、スピーディーな意思決定に基づく経営をおこなうことが可能となります。

創業家に事業会社を任せられる後継者が不在の場合でも、創業家が持株会社のオーナーとなり、各事業会社の経営者を社員から抜擢して事業を継続することも可能となります。

ホールディング経営は、「所有と経営の分離」をスムーズに実現する方法といえます。

 

中小企業診断士 高橋康友(筆者のプロフィールはコチラ)

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