「正解」のない時代をこれから生きていく私たちに必要なことは、「意見を言える力」です。
私たち日本人は、学校教育の影響もありますが、「答えのない問いに考えて意見を出すこと」よりも「正解を出すこと」が重要だと教えられてきました。
また自分の進路を考える時も、「みんながそうしてるから」「ルールだから」といって、自分で考える訓練をあまりしてこなかったように思えます。
しかし、これからの仕事は「ルーティン」の仕事ばかりしていて何も考えない人ばかりの組織では世の中から淘汰されてしまい、同じ考えばかりの人の集まりでは「イノベーション」は起こせません。
また、意見を言える人財を育てたとしても、その意見を許容できる組織の場がなければ、まったく意味がなくなってしまいます。
答えのない問題に取り組むためには、情報収集力や分析力、そしてその事実に基づいた、エビデンスから導き出される考察が必要になります。
ただし、答えは1つではなく、あくまでの1つの仮説と捉え、組織全体で、その仮説をいくつもあげながら、議論を重ねていく必要があります。
そして、意見を言えるためには、常に「考える力」と、「伝える力」「伝わる力」というコミュニケーション能力が必要で、そして実際に行動を起こす力が必要となってきます。
行動を起こしながら、PDCAをまわし、マーケットから答えをもらうことで問題の1つが解決されていく、そんな循環が重要です。
意見を言えるのは、上層部だけ、もしくはリーダーだけという組織が上手くいくのは、ヒエラルキー型の組織で、指示命令ですべてが回っている状態です。
しかし、これからはフラット組織に変化し、誰もが「意見を言える」組織でなければ、イノベーションを起こすことは難しいでしょう。
よく、研修で「これからの時代の変化に対して、これから皆さんの企業はどのような変化が必要ですか?」という問いでディスカッションしていただきます。
この問いにも答えはありません。答えのない問いに対して、驚くほど意見やアイディアがでてきません。
また、自分の意見を言うことを躊躇している姿もよく見かけます。
日常の中で、「意見を言う」訓練がされていないことが研修のディスカッションのなかで感じられます。
皆さんの組織の会議やミーティングの場ではいかがでしょうか?
本来、会議はディスカッションする場であり、会議の前には自分の意見を伝えるために、その意見を支える自分の考え方のプロセスをA4、1枚程度にまとめておくことが必要です。
会議の場が、ただ情報を伝えるだけの場になっていないか、意見の言える心理的安全性は確保されているか、そしてそもそも、議題に対して「考え抜いて」会議の場にメンバーが集まっているかどうかを一度見直すことが大切です。
もし、会議が形骸化せれているようであれば、組織全体の会議やミーティングの「あり方」を変化させることが、1人1人が「意見を言える」人財育成の第1歩に繋がると思います。
人財育成も、まさにこれから変化の時代です。