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ホールディング経営における経営戦略投稿日 | 2022.9.30

 

事業承継と経営戦略

経営戦略を立てるということは、目指す姿や目的に向かって企業が進んでいく道すじを決めることになります。

道すじの選択肢はあります。

そのなかで、最善の道、わが社らしい道を選ぶ判断をすることになりますが、場合によっては、判断のレベルではなく、「決断」が必要なときもあります。

事業承継における経営戦略の策定においては、1年先といった短期や、3年先や5年先といった中長期の到達地点を目指した経営戦略だけでなく、自分の代で何を成し遂げるかという戦略も必要となります。

そして、次の代へバトンを渡し、後継者が次の経営戦略を立てて事業を承継していくことになります。

 

ある中小製造業の経営戦略

C社は、金属部品製造業です。

創業時はプレス加工専門でしたが、2代目の経営者が、多品種少量生産に対応するためにレーザ切断加工もできるようにするとともに、後工程の曲げ加工、溶接、組立の工程も自社でできるようにして、設計から組立までの社内一貫性体制を確立しました。

多品種少量生産に対応できるようになったことで、月あたり20個~50個の注文も受けられるようになり、新規顧客を開拓することができました。

その後、その顧客の製品生産数が10倍へと伸びましたが、プレス加工工程も有していること、曲げ工程の自動化を積極的に進めていたことにより、顧客からの注文増に難なく対応することができました。

それにより順調に業績を伸ばし、高い収益性を維持されています。

C社は、生産性向上のための設備投資を継続するだけでなく、省エネやIoT活用に同業他社のどこよりも早く取り組んでおり、進取の気性が強みの一つです。

中小企業の強みは機動力であるとよく言われますが、C社は長期的な戦略に基づき、機動力に磨きをかけています。

C社社長は、将来の事業承継時までに到達させておく地点を明確にして経営戦略を遂行されています。

 

ホールディング経営における経営戦略

持株会社(ホールディングス)を活用したホールディング経営における経営戦略ですが、持株会社と各事業会社はそれぞれの戦略を策定して遂行する役割を担います。

持株会社は、グループ全体の経営戦略を策定します。

グループの経営理念や経営ビジョンに基づく戦略となります。

そして、各事業会社は、グループの経営理念や経営ビジョンとつながる自社の経営ビジョンを実現するための事業戦略を策定します。

 

経営戦略には、企業が持つ機能ごとの戦略も含まれますが、中小企業の場合、人的資源に限りがあることで、販路開拓や商品・サービス開発といった成長に欠かせない機能が不足していることが多いです。

持株会社がその機能を保有し、傘下の事業会社はその機能を活用することで成長することができます。

それにより各事業会社の経営者は自社の強みに磨きをかける仕事に注力できるようになります。

中小企業診断士 高橋康友(筆者のプロフィールはコチラ)

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