後継者が不在の企業は、設備の老朽化が進んでいる場合が多い。
特に製造業の場合、設備の老朽化がそのまま生産性低下と、それによる競争力低下につながっている場合が多い。
現社長の年齢が60歳代中盤から70歳を超えており、かつ後継者が不在となれば、「自分の代で設備を使い切って会社を閉じる」という将来を描くことは自然なことだろう。
設備を使いきる、ということは新規の設備投資を積極的には行わず、老朽化が進むということになる。
一方で、そうした後継者不在企業のベテラン社長たちが考えていることは、「自分がやれるまで経営し、いよいよできなくなったらM&Aで会社を売却しよう。」という考えだ。
しかし、そんなに都合良くはいかない。
なぜなら、設備老朽化と生産性低下、収益力低下が進んだ企業は、M&Aの買い手にとっても魅力が薄いからだ。
しかも、設備が特定の製品群に特化し、取引先の事業も成熟分野であった場合には、さらに会社売却が難しくなる。
一方で、ベテラン社長が経営する製造業であっても、途中から後継者が入社し、現場で精力的に仕事をこなすようになると、設備投資への意欲も高まる場合が多い。
新しい設備を入れて生産性を高め、さらに競争力を高めつつ次世代への引き継ぎを進めようという意欲が湧き起るからだ。
だから経営者たる者は、たとえ自分の年齢が上がり、10年後くらいに社長引退年齢が近づいたとしても、事業意欲を萎えさせてはいけない。
少なくとも、設備投資をはじめ会社の競争力を維持していきたいものである。
いや、維持しようとしたら、常に前向きに前進する上昇意欲をもっていなければならない。
そして、新しい技術や情報にも目を向け、積極的に経営に取り入れる柔軟性も持ち続けたい。
そうすることが、経営者としての気力と若さを保つことにもつながっていくのではないだろうか。
実際にそのような取り組みができている経営者は、年齢を重ねても若く、元気である。