普段から私たち中小企業診断士は「経営支援」という言葉を便利なワードとして使っています。
しかしそこには公的支援と民間支援の二つの領域があり、その使い分けについてあまり論じられていません。
そこで今回はどちらが企業にとって有益なのかを検討したいと思います。
そもそも「経営支援」の正確な定義はあるのでしょうか?
AIに聞いてみると「企業が抱える経営課題を解決し、成長や安定を図るために提供される専門的なサポートサービスのことです。
単なるアドバイスにとどまらず、実行支援や戦略策定まで幅広くカバーされます。」という答えですね。
つまりAIが言うには経営支援とは「公的支援」と「民間支援」の両方が包括された概念のようです。
次に法律面から探ってみますと、中小企業支援法では「中小企業者の依頼に応じて、その経営方法に関し、経営の診断又は経営に関する助言を行う事業。
つまり国や自治体、支援機関が中小企業の経営資源確保や改善に向けて、計画的・効率的に支援すること。」でした。
つまり法律では「公的支援」だけが定義されているという事ですね。
そこで本題となる「公的」or「民間」どちらの経営支援が有効なのでしょうか?
まずは、経営支援の内容を確認した上で、公・民それぞれのメリットやデメリットを探りながら考えていきましょう。
経営支援の主な内容とは、経営戦略の策定、財務支援、人材育成・組織活性化、事業承継・M&A支援、資金調達支援などが一般的です。
支援を受けるメリットとしては、経営課題の迅速な解決、経営ノウハウの習得、人材不足の解消、経営リスクの低減など様々です。
支援を提供する側として公的機関には、「商工会・商工会議所」、「市の支援機関」、「県の支援機関」、「国の支援機関としての中小機構」と形態も様々です。
民間機関にも個人から大手コンサル会社まで様々です。
その他金融機関も様々な経営支援を行っています。
支援側の特徴をカンタンに説明すると、公的機関は無料が多いが回数制限あり。
民間企業は有料だが専門性が高く柔軟。
金融機関は取引先に対し無料経営支援サービスなどが一般的です。
もしあなたが経営者で「何から始めればいいか分からない」と感じているなら、まずは公的支援機関の無料相談を活用するのも一つの手です。
どんな業種でも、支援の形はあります。ただ多くの経営者はその活用に慣れていないため、はじめは顧問税理士に相談するケースがほとんどです。
そのため税理士さんが公的支援機関への舵取り役となることが望ましいですね。
さて公的・民間に関わらず、経営支援の実際のサービスメニューについて説明します。
経営支援サービスには、企業の課題や成長ステージに応じてさまざまなタイプがあります。
以下に代表的な5つの種類をわかりやすくまとめました。
支援先を選ぶ際のポイントとしては、自社の課題に合っているか、支援の範囲(提案だけか、実行までか)は的確か、成果の再現性があるか、予算内に収まっているか、担当者との相性や信頼感はあるか、などです。
経営支援は「外部の力を借りて、社内の仕組みを整える」ための有効な手段です。
特に中小企業では、社長一人で抱えがちな課題を分担・可視化することで、持続可能な経営が可能になります。
さて本題の「公的」vs「民間」経営支援サービス有効性の結論です。
あくまで個人的な意見を申し上げますと、どちらかではなく、「場面に応じて両方を使いこなすコンサルタント本人」との出会いが一番の勝ち筋と断言します。
必要であれば、具体的な公的支援への同行や民間専門家の紹介など、いろんな角度から企業支援を掘り下げる支援が有効だからです。
ではどこで、そんな方と出会うのか?方法は様々ですが、何のツテもない経営者さんは、地元の商工会・商工会議所、または懇意にしている金融機関に相談しながら、まずは公的支援の門をたたくことをお勧めします。
なぜなら社長の漠然とした悩みや経営上の課題を見つけるまでの期間は数回必要であり、その間は無料相談が有効であるためです。
相談の途中で課題そのものが間違っていたことに気づくケースも少なくありません。
そうした経営支援を受けるための方向性が確定した後に、実動に強い民間コンサルに依頼するのも良い流れと言えます。
中小企業支援ナビは民間会社でありながら、公的支援の相談業務を主に行っていますので、民間・公的両面から経営者にとって最良のアドバイスをお届けしています。