①経営目的についての様々な意見
このテーマは古くから多くの著名人や経営者が様々な観点から研究がなされています。
1960年代に活躍したマネジメントの第一人者ピータードラッガーはこう言ってます。「企業とは何を理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。」つまりドラッガーは顧客に選ばれる商品・サービスを提供する仕組みが経営であり「顧客志向が大事ですよ。」という1つの意見を述べました。
また稲盛和夫氏はこう言ってます。「『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する』これ以外に、企業の目的はない」つまりこれも「人を幸せにしたり社会のためになる活動が経営の目的ですよ。」という1つの意見です。
一方で「会社は株主のモノ」と言い、株主利益の最大化が経営目的であるという世間をざわつかせる意見もありました。会社は従業員のものとか取引先のものとか社会のものとか色々な意見がありますが、その発言者は単純に「法律的には株主のものです。」という当たり前の意見を述べただけです。
このように様々な観点でいろいろな人が持論を述べているのが現実です。
②実際の経営者ヒヤリングによる個人的な肌感
ここで私自身のコンサル活動を振り返って考えてみます。私はこれまで必ずと言っていいほど経営者と話すときに心がけていることがあります。この経営者はなぜこの会社を経営しているのだろうか?どんな気持ちで働いているのだろうか?どんなビジョンを持っているのだろうか?幸せなのだろうか?
いつもこんなことを考えながら会社経営についての話し合いが始まります。
これまで多くの経営者さんとの話から、企業規模・創業年数・業種・経営者年齢などの違いはありますが共通点がいくつかありました。あくまでも私の持論で極論ですが、「経営目的は経営者自身が幸せになりたいから」に集約できそうな気がします。
経営者も普通の人間です。従業員との違いは仕事の立場が違うだけです。なので明確に経営目的を聞いても言えない経営者や社員向けにキレイごとを言いたがる経営者もいます。
③結論
経営者にとって何が真実の経営目的なのかという本音はわからない訳ですが、従業員が複数以上いる会社の存続には結果的に経営目的や目標が必要となります。なぜなら自分以外の人間との共通目的や共通目標がないと生産性が落ちるためです。
さらに会社規模が大きくなるに従い必要度は増していきます。特に新たな優秀な人材確保には必須です。何を目的とするかはその企業の自由ですが他人から見て「素晴らしく、クールで、わくわくする、社会的にも有意義な」目標を掲げるしかないという事です。
またそれを実際に実現するためには「働く人や取引先、顧客」など企業活動が影響を与えるすべての人を満足させ続けるため経営者は日々の努力をするしかないようです。
まとめるとドラッガーや稲盛和夫氏の言う通りだったという結論でした。