ある商店街の取り組み事例
昨今SDGsというワードを見ない日はないくらい世の中に浸透しているこの取り組みですが、実際の中小企業の活動においてどれほどの意味合いなのでしょうか?
本コラムでは北九州市小倉の「魚町商店街」のSDGsに関する取り組みを紹介します。
今回紹介する魚街商店街は、特殊技術の導入や莫大な費用をかけた訳ではなく、誰でも実践可能なものです。省エネや若者目線のリノベーション店舗の開店による持続可能な施設作り、地域を繋げるコミュニティ開発、観光客向けのキャッシュレス推進等多岐にわたる取り組みが評価され2019年12月20日に開催された「第3回ジャパンSDGs アワード」で最高賞を受賞しました。
※ 外務省HP「SDGsジャパンアワード」参照
魚町商店街での取り組みとSDGsターゲットとの関連
・太陽光パネルを設置したエコルーフによりアーケード内のLED照明を自家発電にしました【❼エネルギーをみんなにそしてクリーンに】
・大学生主体による清掃活動を行っています【⓭気候変動に具体的対策を】
・食品廃棄物を減らす取り組みを始めました【⓬つくる責任つかう責任】
・多世代が交流できる場を作り行政、学生、市民が交流【⓱パートナーシップで目標を達成しよう】
・店主が講師となり専門知識を無料で教える「まちゼミ」による学びのしくみ【❹質の高い教育をみんなに】
この商店街ではその他にも皆がそれぞれ工夫した活動が増え、これらすべてが絡み合い新たな出会いが生まれる仕組みが機能しています。
どんな取り組みがSDGsとしての正解なのか?
この事例にある商店街が成功事例として注目されている理由としては、商店街への来客数が増えた点といえます。逆にどんなに「環境や社会にいいこと」をしても客数が増えなければその商店街としては失敗と評価されます。
つまり「良い取り組み」と「事業の成功」が結びつくかどうかという点が非常に大切となる訳です。
今多くの中小企業は自社の生き残りをかけて様々なアイデアやテクノロジーを駆使し未来戦略つくりに迫られています。その成功のための道しるべの一つがまさにSDGsとしての発想を入れた企業構想であるのは間違いないでしょう。
最後に
2019年に中小企業庁が実施した商店街に関する調査によると、2016年からの3年間で、1商店街あたりの店舗数は平均3〜4店舗減少し、空き店舗率も若干ながら増加しました。しかし、この事例のように商店街への来街者数が「増えた商店街」は増加しておりまだまだ商店街には大きなポテンシャルがあるといえます。“商店街”は今後、伝統と活気あるその商業形態を活かしながら生き残るための新たな戦略を模索することになるでしょう。
人の生活が豊かになるというプロセスの起点に実はSDGsという思想が存在しているのかもしれませんね。