そこには企業の存在意義があるから
そもそも企業の存在意義とは何でしょうか?利益の最大化?それとも社会貢献?
結論はその両方で「利益を挙げつつ社会に向け正しい活動をする。」と私は考えます。
ということはSDGsを利用して利益を挙げること自体が企業の存在意義とも言い替えられそうです。2015年に国連総会で全会一致の採択を得た「2030アジェンダ」を読み解くと「世代を超えて、すべての人が、自分らしく、よく生きられる社会」を実現する取り組みであり、世界が認めた人類生存戦略ともいえます。もはやこの流れに逆らうことは企業のリスクであるともいえます。
SDGパートナーズの田瀬氏は著書の中で「売り手よし、買い手よし、世間よし」の3方よしに加え「地球よし、未来よし、作り手よし」の6方よしの感覚であると語っています。
そこには商売の本質と現代企業の存在意義が散りばめられているという訳です。
そこには大きな市場があるから
ESG投資という言葉を最近よく耳にします。これは日本の経済界がにわかに関心を示している証でしょう。ではESG市場とはどれくらいあるのでしょうか?
世界の機関投資家が参加するGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)のレポートでは、世界のESG投資の規模は2018年版で3400兆円とされています。つまり機関投資家はサスティナブル市場への期待として資金を集中させている訳です。
日本企業の進むべき方向は、ESGすなわちE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を満たした企業活動であり利益への近道になるということです。
SDGs企業には優秀な人材が集まるから
労働力人口が減少している現在日本において若い優秀な人材の確保がいかに大切かとう説明は言うまでもありません。まして中小企業において優秀な人材確保は至難の業です。特にZ世代と言われる1990年代後半から2000年代に生まれた世代は物心がついたころからインターネットを使いこなし、環境意識の備わったSDGsネイティブとも言われています。彼らは最新情報の中で育ち豊富な知識を得て社会に参入します。また彼らには終身雇用という概念は乏しく自己実現を念頭に自分に適した会社を徹底的にリサーチして選びます。つまり企業側は彼らに選ばれる存在となり、SGDsへの取り組みや社員の人権に対する対応などをホームページに明確に記す必要があります。
いつか入社面接時に「御社のSGDsに向けたビジョンを聞かせてください」なんて言われる日が来ることでしょう。
このようにSGDsという世界的潮流は避けられず、すでに大波の飲み込まれている状態と言えます。そのような状況下で中小企業の経営者から「我が社はどうすればいいのか」という質問をよく受けます。
私はこのSGDsという概念が中小企業の未来を描くきっかけになると信じており、経営者には次のように提案しています。「過去の成功に固執せず、将来ビジョンを見なおし、組織や商品サービス、事業そのものもデザインし直してみてはいかがでしょうか。」
未来の姿は今日描く「経営デザイン」の延長にしか存在しません。