トヨタ自動車は2024年3月期の連結営業利益が過去最高益を更新し、そして2025年3月期は「マルチパスウェイ(全方位戦略)を具現化する」として、人的資本などに3,800億円を充てるなど投資を加速する方針を明らかにしています。
トヨタにおける全方位戦略とは、EVだけでなく得意とするハイブリット車、プラグインハイブリット車、燃料電池車などのすべての開発・販売するという戦略です。
そのためには多様な人材が必要とされ、地域ごとの現実に沿ったソリューションが提供できる力が必要とされます。
私が、この発表を見たとき、まさにこれからは設備投資と同時に人的資本に投資できるかが、世界のトップランナーを走る企業には重要な考え方なのだと感じました。
もちろん、大企業だけでなく、どの企業にも必要な考え方で、人的資本に対するしっかりとした戦略を描けるかが経営者に問われているように思います。
キャリア1.0では、年控序列、終身型雇用で、働き方としてはメンバーシップ型でした。
学びつづけることは、実務からの学びが主でした。キャリア2.0では、年功考慮、転職含み雇用で、働き方としては半メンバーシップ型、学びは実務に紐付くものと、実務外での学びへと変化していきました。そしてこれからの時代、キャリア3.0では転職前提雇用、複数企業前提雇用となり、働き方としては、目的型、ジョブ型、その先には自立型へと変わり、学びは将来を見据えた戦略的学習へと変化していきます。
経営者やマネージャーのやるべきことは、社員の「やりがいづくり」と「業績達成」の両立をさせることです。
そのためには「働くことを自らの成長ステージ」と考える社員を育てる必要があり、そのための人財戦略を描くことが重要です。
もし、この組織ではもう成長できないと、社員が感じるようであれば、転職は益々加速することとなるでしょう。
経営者やマネージャーは、社員に選ばれる「組織づくり」、そのための「制度づくり」をしなければなりません。
採用した人材を、どこの企業でも活躍できる、通用する人材に育成することが、組織の成長を促し、生産性を上げ、よりよい働き方を提案できることに繋がっていくはずです。
そして、そのような人材が集まれば、魅力的なサービスや、ソリューションが提供できる企業へと変化できるのではないでしょうか。
20代であっても、30代であっても、実力以上の仕事に挑む機会を与え、時には出向も含め、色々な世界を見せることも大切です。
トライさせながら成長させる。
経営者やマネージャーの心の許容量が大きくなれば、成長のスピードは上がっていくはずです。
そして自社で活躍しつづけてもらえる組織風土をつくることが、急がれているのです。