労働生産性、すなわち「人の生産性」は、
人の生産性=付加価値/(社員数×労働時間)
で算出できます。
分母の「社員数×労働時間」はいわゆる「工数」です。
『効率』化によって工数削減し、生産性を向上させることができます。
仕事をより少ない人数で出来ないか、より短い時間で出来ないかと創意工夫することで工数を削減することができます。
しかし、生まれた余力や余裕時間を有効に活用しないと意味がなく、ただ遊んでいるだけになってしまいます。
「生産性を向上させる」ためには、『効率』だけでなく『効果』を上げることが必要です。
『効果』を上げるということは、より多くの「付加価値」を生むということです。
たとえば、工数削減で生まれた余裕時間を教育の時間とする、新製品のアイデアを考える時間とするなど、新たな付加価値を生み出す源泉とすることが大事です。
さきほどの「人の生産性」の式における分子に該当します。
付加価値は、創意工夫によって際限なく高めることが可能です。
大企業と比較して経営資源に限りがある中小企業においては、生産能力が変わらなくても付加価値を高める経営戦略を立てることができるかどうかが鍵となります。
『競わない戦略』を立てることが一つの方向性となります。
テレビ番組のカンブリア宮殿でも紹介された、京都府宮津市に所在する株式会社飯尾醸造様の経営戦略が『競わない戦略』です。
米酢のメーカーですが、生産能力に限りがあります。
昔ながらの製法で作られるこだわりの米酢であり、大量生産品ではありません。
そこで、大手企業では作れないニッチな商品の開発による差別化を図っています。
ピクルス専用の「ピクル酢」、手巻き寿司専用の「手巻きすし酢」など、使い道を絞った商品を開発し、多くのファンをつくっています。
帝国データバンク著「百年続く企業の条件」(朝日新聞出版)に創業100年以上の老舗企業様へのアンケート結果があります。
今後、老舗が生き残っていくために必要なものとして、上位に挙がったものは、
1位 信頼の維持(65.8%)
2位 進取の気性(52.8%)
3位 品質の向上(43.0%)
※複数回答
でした。
2位の「進取の気性」とは、自ら積極的に物事に取り組む姿勢のことです。
株式会社飯尾醸造様は、創業131年の老舗企業です。
株式会社飯尾醸造様も老舗企業アンケート結果と同様に「信頼の維持」「進取の気性」「品質の向上」を大切にされています。
それを長年継続していることが長寿の秘訣といえます。