2022年がスタートしました。2022年から始まる「変化」はこれからかなり加速していきます。企業にとっては、まさにお客様にとって「希少性」を発揮できるかどうかを問われる時代になっていきます。
先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で50代からの女性をターゲットにした女性誌「ハルメク」の編集長、山崎朝子さんの密着取材を見ました。出版不況といわれている中で、日本一の部数を誇る定期購読の「ハルメク」。本屋さんに置かれていないので購読者は、自らこの「ハルメク」を選んで、その雑誌の内容に共感し、時には新しい自分を見つけ、贔屓客になっていきます。
山崎さんはヘッドハンティングされ低迷していた「ハルメク」の編集長となるわけですが、彼女の購読者目線のこだわりが、すざましく、購読者のメインターゲットである「65歳のA子さん」という仮説をたて、徹底的にA子さんならどう考えるかを突き詰めていきます。また、3,000枚近くのアンケートハガキを何度も何度も読み返し、今、読者が何を求めているかを考え続けます。編集部本位の雑誌にしないため、3ケ月かけてしっかりとしたデータ分析やリアルな読者を交えたディスカッションも繰り返されます。一言一句、読者が目にしたときに、共感してもらえるかを考えぬき、1冊の雑誌が出来上がっていくのです。山崎さんが編集長になる前は、編集部が、こんなことを読みたいのではないかと漠然としたどこの雑誌でも取り上げられているような内容の雑誌で、売り上げがどんどん低迷していったそうです。徹底的に「購読者に寄り添う力」と「分析力」とこの雑誌で読者の皆さんを喜ばせたいという「情熱」で「ハルメク」は生まれ変わったのです。まさに、唯一無二の雑誌。読者の一人は、この雑誌のことを「友人のような存在」とおっしゃっていました。
企業が、お客様にとって唯一無二の存在であり、その地域において「希少性」である存在になるための「あり方」がこの「ハルメク」のあり方から見えてくるようでした。お客様の目になるということは、相当な情報収集能力、分析力、そしてチームでのディスカッション力が必要です。そして、失敗を恐れない力。お客様に寄り添うということは、相当な情熱も必要です。まずは、目の前のお客様の力になれるかどうか。そのためには、商品を知り尽くし、お客様にとって、自社のサービスや商品はどのような意味があるのかを考え抜く必要があります。
お客様の期待に応えるだけでは、ただの「満足」に終わり、期待を超えた時に「感動」が生まれ、期待を超え続ける継続性があったときに「感謝」へと変化していきます。私たちは「感謝」される仕事をしているのか、そして「感謝」される新しいサービスや商品を生み続けているのか、そしてそのための努力を突き詰めているのかを問われる時代へと
突入しました。
2022年からの人財育成の1つの「あり方」として、本当の意味での「お客様に寄り添う力」を発揮できる個々の力と、チーム力は大切な課題になるのではないかと思います。
今年も、さらに加速して新しい「学び」は続きます。