イノベーションというと、0から1を生み出すような、とても難解なイメージがありますが、私は日本の企業においては、1を100に変化させるイノベーションのほうが取り組みやすいと考えています。
1から100とは、自社の所有している財産を、どう活かしていくかというイノベーションでもあります。
そのためには、まず自社の価値観の組み替えが必要ですが、今まで慣れ親しんだ価値観を組み替えることは、脳科学的にはとてもとてもハードルが高いとも言えます。
しかし、このまま現状維持ではお客様が離れるというギリギリのところまで日本企業は追い詰められている状況なのではないでしょうか。
まずは、何十年と積み上げてきたお客様というプラットホームをしっかり分析する必要があります。
お客様の行動や関心に関するデータをしっかり構築し、お客様に「しっかりと面倒をみてくれる企業さんだ」というブランドを構築していく必要があります。
たとえば、フェイスブックやグーグルは大量のデータがひもづけられた大量の利用者を抱えていて、絞り込んだターゲットにリーチしたい広告主にプレミアム料金を請求することができます。
デジタル企業と違うのは、日本の中小企業のほとんどは、お客様と実際に対面でき、お客様のリアルな声をきくことができ、そしてお客様と関係を深めることができることができるはずです。
つまり経験価値を最大限に提供できることができるのです。
ただ、今まではお客様の情報は個々の営業マンもしくはその人個人の中でとどまってしまい、データ分析することを積極的に取り組んでいなかったのではないかと思います。
データの量と質、そしてそれを分析する力が中小企業のイノベーションを生み出すのではないでしょうか。
中小企業の多くはお客様の望む新しいサービスを、考える力によってご提案できるはずです。そのためには今までとは違う価値観を受け入れていくことが大切です。
①組織の基本的な価値を明確に定義すること
②お客様の求めているものを理解すること
③自社がもつ強み、優位性を見極めること
④リーダーがチームに幅広い権限を与え、階層的組織を変革すること
⑤多様な視点、背景、才能を抱える組織を目指すこと
⑥トライ&エラーを容認する組織にすること
⑦自社のサービスを疑う目を養うこと
⑧さまざまな企業とパートナーシップを構築すること
このような価値観を構築するためには、変革の緊急性をリーダーがまずわかっていることと、自社のあるべき姿を真摯に追求する組織文化を再構築することが不可欠です。
「考える力」はすぐに養えるものではありません。
それでも「考える力」なくしてイノベーションは起こせません。
私は、良い時代が来たなと思っています。「考えること」は人間のとって最高の強みだからです。
「どうしたら?」「なぜ?」をフル回転させて、日本企業の新しい時代をスタートさせるのは「今」です。まだ時間があると悠長に構えることが最大のリスクであることを気づき、行動を起こしていきましょう。