①コンプライアンスとは
コンプライアンスとは「法令遵守」であるといわれています。
しかし、法令ですべての物事の良し悪しを判断することはできません。
ビジネスにおいて、ほとんどの意思決定は法令だけでは決められません。
何が正しいのか、自分自身の判断基準を持って物事の良し悪しを判断しなければなりません。
それには企業倫理、道徳意識を持つことが必要です。
CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉があります。
企業は、企業を取り巻く社員、顧客、取引先、消費者、株主、地域社会、自治体など多様な利害関係者(ステークホルダー)からの期待やニーズに応えるために、事業活動を継続していくことが求められるというものです。
企業は、社会に対して責任を果たし、社会と共に発展していく存在です。
企業の活動が世の中の役に立つために大事なことは事業を継続することです。
新しい事業へ転換することも含め、事業経営を続けてお客様や社員に満足を提供することが社会貢献となります。
②事業の継続
事業の継続といえば、BCP(Business Continuity Plan)を思い浮かべる方が多いと思います。
BCPは、地震、感染症、風水害などの不測の事態へ対応し、企業の中核的な事業を続けられるようにする、あるいは早期に復旧させるための計画で、企業の価値を向上させることを目的としています。
また、企業にとってのマイナス要因には、災害の他にトラブルや不祥事もあり、これらの要因は事業への脅威となります。
しかし、事業を継続させるためには、事業の脅威への対応だけではなく、プラス要因となる事業の機会への対応も必要ではないでしょうか。
得意先や仕入先との信頼関係づくり、ライバル企業との差別化を図っていく前向きな対応も重要だと考えます。
マイナス要因だけでなく、プラス要因にも取り組んでいくことが次世代への事業承継を成功させることにつながります。
③事業承継
事業承継とは、企業がこれまで培ってきた様々な資産を円滑に引き継ぐことです。
様々な資産には、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源がありますが、経営理念の引継ぎも事業承継において重要な要素となります。
経営理念は、企業が何のために存在するのかを明らかにしたものであり、創業者や経営者の悟りでもあります。
経営理念は、経営者の使命感になります。後継者は経営理念を自らの使命感として引き継ぐことで事業が承継されていくことになります。
経営理念は、その企業における企業倫理でもあり、経営理念を遵守することがコンプライアンス経営となります。
言い換えると事業承継の円滑な実現には、コンプライアンス経営が不可欠といえます。