従来のマーケティングとは異なるユーザ視点
近年話題のデザイン思考とは、デザイナーがデザインを考案する際に用いるプロセスを、ビジネス上の課題解決のために活用する考え方のことです。このデザイン思考(デザインシンキング)がビジネスのあらゆる場面で必要となってきた背景にあるのは、急速な時代の変化によりビジネスのあり方が大きく変わってきたことが一番の理由です。デジタル化やAI化が進み産業構造事態や社会環境が様変わりし、これまでの常識の多くが通用しなくなっています。既存の概念を打ち破るような斬新なアイデア、オリジナリティーにあふれる製品を生み出す発想を生み出すためのアプローチのひとつとして注目されているのが「従来のマーケティングとは異なるユーザ視点」です。
「ユーザの観察」と「ユーザへの共感」
大量消費の時代は過ぎ去り、モノ余りの時代である現在の商品開発はかつてに比べて格段に難しくなっています。今求められているのは、ユーザーの気持ちをユーザー以上に理解し、彼ら自身も気づいていない潜在的なニーズを発掘することです。そのために有効なのが、「カスタマージャーニーマップ」や「デザイン思考」など、ユーザーの視点に徹底的にフォーカスした「人間中心設計」のアプローチです。サービスや商品の顧客体験の中にある、言葉にできない感情を読み解き、問題点を把握する徹底した「ユーザの観察」と「ユーザへの共感」こそが、その後アイデア創出をする上で重要な柱となり大きなイノベーションを生み出します。
人を中心に考えるデザイン思考のメリット
従来のマーケティングで用いられる統計データやアンケート調査は、調査対象であるユーザーがある程度意識された情報の中で返答するため、予測できる事実の再確認になりがち、つまり本音や潜在的な想いを汲み取れない調査結果をもたらしてきました。現代において成功を収めているプロダクトは、例外なく顧客ニーズを的確につかんだ商品ばかりです。徹底したユーザー視点と柔軟な発想力から生まれるた「デザイン思考」は「人」を中心に考えるため、商品開発に限らず、組織課題を考える場合などにも活用できます。過去の製品の課題を見つけ、改善を加えていきながら品質を上げていた従来の思考法は、失敗を回避するあまり「このアイデアは出すのはやめておこう」という消極的な思考に陥りがちです。ユーザー視点によるデザイン思考の実践によりプロダクトやサービスの成功確度を高められれば、ビジネスにおいて大きなアドバンテージを得ることができます。