ドジャースがワールドシリーズを制覇したことで、「大谷翔平」という存在の影響力が連日伝えられています。
ドジャースに移籍して1年目でチームの主軸となり、チームにプラスの影響力を与え続けた彼の「人間性」はどのメディアからも大きく賞賛されています。
人は誰しもその人独自の観点で、他人を判断しています。
それが正しいのか間違っているのか関係なく、その人なりの思い込みで、他人を評価し、認識しているのです。
心理学者のナリニ・アンバディとロバート・ローゼンタールは、たとえ15秒未満の出会いであろうと、人は相手に性格について強い認識をもつことをあきらかにしています。
そしてさらに重要なことに、人はその正反対の証拠を目の当たりしても、いったん決めつけた認識を変えようとはしないとのことです。
私は研修や講演をはじめる最初の15分程度をいつも自分のプレゼンと捉え「認識」をつくるための時間にあてています。
この時間で、受講生の皆さんは、この講義をしっかり受けようか、やめようかを決めてしまうことが多いからです。
まさに、受講生からの印象が、研修の成果に大きく影響を及ばしています。
生成AIが進化すればするほど、人間の能力のなかでも対人関係を良好にする能力は益々、重要になります。
一瞬で、相手から信頼されて、この人ともっと話してみたいと思われる人もいれば、逆にもう会いたくないと思われる人もいるかもしれません。
一瞬の「認識」はその先の人間関係や仕事に大きく影響することは間違いなく、だからこそ私たちは人と交流する能力を磨く必要があるのです。
ハーバード大学の経済学者、デヴィッド・J・デミングは、「職場での重要性を増すソーシャルスキル」が今後の課題であることを発表しています。
ソーシャルスキルを簡単に言うと「ほかの人に対する振る舞いやものの言い方」といえますが、職場においては①協調力②交渉力③説得力④社会的洞察力(相手の立場に立って心情を察する能力)などの力も含まれています。
「大谷翔平」という選手は、私の目にはもちろん野球の才能、そして彼の努力、身体的なポテンシャルすべてにおいて素晴らしいと思いますが、まさに「人と交流する力」が素晴らしく、出会った人が彼から影響を受けファンになってしまい、その力が彼を未来へと繋いでいるように見えます。
そして出会った人を、プラスの未来に導いているとも感じます。
あなたが、相手を豊かにし、価値をもたらす。
その価値は、あなたがいなければもたらされないもの。
そして相手が豊かになる。
そしてさらに、ほかの人も、あなたが価値をもたらし、そのおかげで自分も豊かになると思う。
この好循環が、「人と交流する能力」を磨くゴールなのではないでしょうか。