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人的資本経営投稿日 | 2022.11.10

 

人的資本経営とは、人材の価値を最大限に引き出し、人材を資本として捉え、価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

 

現在、経済産業省と金融庁がオブザーバーに入り、「人的資本経営コンソーシアム」が設立され、人的資本経営の実践に関する先進例の共有や、企業間協力に向けた議論、効果的な情報開示の検討が進められていきます。

 

今の多くの企業の若手・ミドル層の離職の増加の現状を鑑みると、まさにこれから企業は「人的資本経営」を実践していく必要があるでしょう。

 

日本は、メンバーシップ型雇用をしてきましたが、価値観の変化は激しく、今やその雇用のあり方が限界に近づいています。

慣例どおりの終身雇用という働き方に、20代、30代は魅力を感じなくなり、人生の一部として「仕事」を捉え、組織に人生を預けることに抵抗感すら感じている20代、30代も多くなりました。

 

日本は1993年頃から、衰退し始めましたが、まさにその頃、世界は無形の「人への投資」に変化し、GAFAといわれる巨大企業が世界を動かしていくようになったのです。

 

「この30年間、日本は本当に人に投資してきたか?」そして「日本は本当に人に優しかったにか?」現在、ようやく30年遅れで、「エンゲージメント」「心理的安全性」などの言葉がでてきましたが、日本は完全に出遅れました。

「人的資源」という考え方では、人を管理することがベースになります。「人的資源」と捉えるのではなく、「人的資本」と捉えれば、社員の自立・自律させることがベースになります。そのための経営戦略・人財戦略がなければ、これからの企業の経営は厳しい局面を迎えるのではないでしょうか。

 

無形資産である「人」に投資することは、管理からの脱却でもあり、人への支援のスタートとも言えます。

人事部や、人材教育課は、調整型人事部門ではなく、価値創造部門へと変化させ、人的資本価値創造が、企業価値創造と繋がるようにデザインしていかなければなりません。

採用に関しても、しっかりと戦略を描き、多様性を認め、相乗効果がでるまでの時間を待たなければなりません。

ダイバーシティは、遠回りのように見えて、価値創造へ変化するためには近道なのです。

 

若手・ミドル層の離職の問題は、直属の上司、もしくは周りのスタッフだけの問題ではありません。

組織として問題です。

今、起きている問題は、長年の慣例主義がもたらした結果なのです。

そう考えると、すべての「個」を活かし、「個の成長」を「企業の成長に活かす」という経営のあり方にたどり着きます。

 

人を伸ばし、活かし、個のアジェンダと組織のアジェンダを共有化し、将来の成長の可能性を1人1人の社員がその組織に見出すことができれば、人生のステージとして、20代、30代はその組織を選択するのではないでしょうか。

「人的資本経営」は、長期戦です。無形の「人」に投資すること。改めて、しっかりと組織全体で取り組む課題だと私は思います。

 

企業アドバイザー 宮道京子(筆者のプロフィールはコチラ)

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