限られた人数で、限られた時間で結果を出していくためには、時間当たりの人の生産性、すなわち労働生産性を高めることが必要です。
時間当たり労働生産性は、
労働生産性=付加価値/(社員数×労働時間)
で算出できます。
付加価値とは、売上高から部品・材料費、外注加工費などの外部への流出費用を差し引いたものであり、社内で生み出した価値のことです。
粗利益と考えてもよいです。
中小企業が付加価値を高めるための取り組みとして、
・高額品の新商品・サービスの開発によって、顧客の高級化志向に対応する
・多品種少量生産によって、顧客ニーズの多様化に対応する
といったことがよく取り上げられます。
しかし、同業他社も同じことを考えて、同じような行動を取った場合、新たな競争が発生することになり、厳しい経営環境に変わりないです。
日常的な商品・サービスを提供する事業であれば、コスト競争力を高めてお値打ちなものを提供することが望まれます。
そのためには、徹底したローコストオペレーションの仕組みをつくり、お値段以上の価値を提供することができる事業戦略を遂行することが有効です。
事例をご紹介します。
日替わり弁当を提供している株式会社玉子屋様です。
日替わり弁当以外の飲食事業もおこなっていますが、日替わり弁当のみで年商70億円を達成されています。
具体的な数字で確認しますと、
① 1日平均で6万食~6万5千食
最大7万食のときもあります。
ランチなので12時必着で、配達ポイントは1万ヶ所もありますが効率的に毎日配達できています。
② 原価率 53%
一般的な飲食業の原価率は30%台ですが、食材にはこだわっています。
いちばんこだわっているのはお米だそうです。
③ 廃棄率 0.1%
食品製造・販売業界では食品の廃棄ロスが大きな問題となっています。
しかし、玉子屋様はこの数値を実現しています。
この内容は株式会社玉子屋 社長の菅原勇一郎様の著書「東京大田区・弁当屋のすごい経営(扶桑社)」から引用しています。
ただの安売りではありません。
「このクオリティでこの価格!」とお客様が満足するランチを提供されています。
日替わり弁当のライバルは弁当屋だけではありません。
コンビニエンスストア、ファストフード店も競合します。
他の弁当屋が「うちは玉子屋さんのマイナス50円でやりますよ」と狙い撃ちしてくることもあるそうです。
一度離れたお客様も「やっぱり玉子屋の弁当がいい」と戻ってきます。
自社の良さを活かし、社員の力を結集して知恵と工夫を積み重ねて他社とは異質な事業戦略を遂行することが大切です。