コロナ禍、欧州での紛争、カーボンニュートラルへの対応など、劇的な経営環境変化を生き抜き、持続可能な経営を確立することは喫緊の課題解決と共に長期的な展望を持った戦略的課題の取組みが必要とされてきております。
このような困難な状況下にあり、売上増加、戦略策定、設備投資、資金調達などに悩む経営者に、中小企業診断士、社労士、税理士などの専門家が寄り添って取り組む伴走型支援が注目されています。
支援専門家など第三者による企業診断では、問題点点検型(ギャップ)アプローチというものがよく行われます。
この進め方は、本来あるべき姿と現状のギャップをあぶりだすことにより取り組む課題を明確化するものです。
この手法は経営危機に陥っているなど状況が緊迫した状況下においての緊急対応などに対しては有効だと言われていますが、支援者は上から目線的な印象を経営者に持たれやすく、経営者からの真の信頼関係が得られないこともあり、十分な「腹落ち」(納得)がないまま取り組むことになることが往々にしてあると指摘されています。
昨今の困難な経営環境下においては、ビジネスモデルの変革や新規事業分野への挑戦などの事業再構築が求められることが多くなってきております。
そのような取り組みでは、自社組織の変革する力、すなわちダイナミックケイパビリティ(自己変革能力)が求められます。
しかし、今までの成功体験や様々なしがらみが足かせとなり、自社組織の変革が進まないことは致命的なことです。
誰かに言われたことを鵜呑みにするのではなく、十分な「腹落ち」により心からやろうと思って取り組むこと(内発的動機)が必要になってきます。
人材や時間に十分な余裕のない中小企業や小規模事業者では専門家による支援を受けることが多いと思います。
外部の支援を受けながら、十分な「腹落ち」をして取り組める進め方として、専門家が企業の伴走支援者となり、丁寧な傾聴や問いかけの対話により、その組織の本質的な強みや夢、根本課題を企業側と共有するアプローチ(ポジティブアプローチ)が注目されています。
支援者は経営者や従業員からの現状の説明を丁寧に傾聴し、その理由や背景を問いかけすることにより、企業側のメンバーも認識していなかった課題や組織の強みについて気づきを得ることができ、夢を持てるというものです。
このようなプロセスによって得られた結果には十分な「腹落ち」があります。つまり内発的動機による自己変革能力を得ることができるものです。
今までやってきたことを変える納得があります。自社の本質的な強みを押さえているので競争力を維持できます。
ポジティブアプローチのためのツールとして経産省からローカルベンチマークシートと内閣府から経営デザインシートが公開されています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/sheet.html
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou01.pdf
これらはシートの枠に単に文字を埋める作業を行うというものではありません。
伴走支援を行う第三者と企業経営者や従業員との対話とそれによる気づきによりその内容が明らかになっていくものです。そのプロセスと出来上がったシートにより経営者や従業員の十分な「腹落ち」のもと課題や変革への取組みを行うことができるものです。
「ポジティブアプローチ」は成功事例も多く示されてきており、最近注目度が上がってきています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)をやらなければならないと思っているが、何からやったらいいのかわからない。
カーボンニュートラル(CN)への対応の必要性は理解できるのだが、自社の経営課題としての認識が十分持てない。
このような中小企業、小規模事業者にはおススメの手法です。