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元には戻らない構造変化への対応投稿日 | 2022.7.20

最近、近くにある大手チェーンのDVDレンタル店が閉店しました。

好立地であることや利用しやすい駐車場を備えていたことや近隣の書店との相乗効果もあり、これまで30年ほどは高い集客力を維持してきました。

 

しかし、コロナ禍の影響で閉店を決断したことは容易に想像がつきます。

なぜなら、これまでにも進むと言われてきたVOD(ビデオ・オン・デマンド)が巣ごもり需要により一気に浸透し、わざわざDVDレンタル店へ出かけていかなくても、自宅で好きな映画や動画を見放題なわけですから。

コロナ禍以降は、テレビCMでもNetflixやHuluなどの動画配信サービスをバンバン流していました。

そして、実際にそれらを知人の家などで体感すると、これまでのDVDレンタル店に行っていたことの意味が大きく薄らいでしまうのでしょう。

なにしろ、お目当てのDVDが他の客に借りられていて無駄足を踏む焦燥感を味わうこともなければ、期日までに観て返却する煩わしさもないのですから。

こうしたDVD店の閉店の例は、コロナ禍で世の中の変化が一気に進むことの目に見えやすい一例と言えるでしょう。

 

そしてこうした変化の中でも気を付けて見極める必要がある変化に「構造変化」と呼ばれるものがあります。

これは、一時の不況などにより利用客や需要が一時的に下がり、不況からの回復とともに需要や売上が戻る「一時的変化」とは異なります。

「構造変化」とは、先のDVDレンタル店からVODへの変化のように、「もう元に戻ることは無い変化」のことを指します。

世の中を見渡すと、こうした「構造変化」と呼ばれる変化はいくつかあります。

例えば・・・

・ガソリンエンジン車 → ハイブリッドやEVへの変化

・リアル店での小売り → ネット通販での販売

・リモートワーク → 通勤時間の減少

 

そして、もし自社がこうした構造変化の影響を受ける事業を営んでいたとしたら、それは斯業(今の事業)を変化させていく必要に迫られているということです。

ただし、一口に事業を変化させると言っても、それを実行していくのは口で言う以上に大変なことです。

顧客分野を変えたり、商品・サービス分野を変えたり、それに合わせて自社の組織体制や社員の意識変革、行動変革をも進める必要が生じます。

こうした大きな変化を巻き起こす鍵は、後継社長にあると考えています。

それは、先代社長の経営を間近に見てきたことで、その良い点も悪い点も見えていることが多いからです。

そして、後継社長の多くは、先代社長の経営の体制を変えたいという基本的姿勢を持っていることが多いからです。

事業承継のタイミングは、経営を変えるタイミングでもあります。

ですから、これから事業を引き継ぐ後継候補者や、継いで間もない後継社長たちには、今のコロナ時代に合わせた経営をどうやって進めていくのか、そしてそうした経営の先に何を見据えるのか、ということをじっくりと話し合っていきたいものです。

 

企業アドバイザー 佐原啓泰(筆者のプロフィールはコチラ)

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