デザイナーは感覚の人?
広告デザイナーとは文字通り、製品やポスター、ホームページや折込チラシのレイアウトなど、さまざまなものの広告表現を手がける仕事です。一般的なイメージとしてデザイナーという職業は、“センスや才能ある人がなれるもの” “感覚の優れている人の職業”などと思われがちですが、それは大きな間違いです。クライアントや依頼者のご要望に応えるために、デザインに関する様々なテクニックが必要なことは事実ですし、それらの技術は一朝一夕に身につけることのできないのものです。しかし、それらはデザイナーの仕事のほんの一面でしかありません。
デザインによる問題解決(solution)
私が思うデザイナーの本当の仕事とは、クライアント側の要望に対して深く考え、ゴールに向けて正しく機能する提案をするだと思っています。ここがアートとデザインの大きな違いです。世の中に対して常に新しい視点を[問題提起]をするのがアーティストの仕事だとしたら、私たちデザイナーは「他者のニーズ」を形にして、正しく[問題解決]へと導くのが一番の仕事です。美しいレイアウトや感覚的な表現は表面的な要素であって、デザインの本質ではありません。
答えは、そこにある。
ユニクロの創業者である柳井正さんは、新聞の折り込みチラシを「お客様へのラブレター」と言っているのは有名な話です。その考えで言えば、デザイナーの仕事とはつまり「ラブレターの代筆業」のようなもの。クライアントの想いを正しく伝えるための「引き出し役」なのです。デザイナーは自分本位ではなく他者の利益を最優先させて問題解決について「考える仕事」でなければいけません。依頼者の目的達成の喜びに寄り添い、努力を惜しまないことが、デザイナーに求められる最も大切な資質であるように感じています。