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新型コロナと各種団体の総会運営投稿日 | 2023.1.31

 

「総会」は、意見を表明することが出来る唯一の機会という言い方が出来ることでしょう。

団体も様々で、株主総会、自治会、分譲マンションの定時総会等を思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、これらの総会の運営方法へも大きな影響を与え、各種法令改正へとつながりました。

今回は、各種団体への横断的にアプローチしつつ制度のご紹介をします。

 

「株式会社の総会」

株式会社の総会運営は、従来から総会の運営コスト削減、有権者の意見表明の機会確保から、書面決議(会社法298条1号3号)による方法もとられてきました。

書面決議を行うには、株主総会へ出席しない株主は会社から提供される資料を元に、議案への賛否を投じることになりますし、準備をする会社側は資料作成が必須、株主側は賛否を決する為に資料の読み込みに時間を要します。

そのため、招集通知期間が長めにもなります。

株主の承諾が得られれば、書面による招集通知の発出に代えて電磁的方法により提供することができ(同法299条3項)、その場合は議決権行使書面の交付に代えて議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます(同法301条2項)。

尚、株主総会資料の電子提供制度に関する会社法改正が令和4年9月1日施行され、令和5年3月1日以後に実施される株主総会については電子提供措置を採る旨を定款に定めることで株主の個別の承諾なしに電磁的方法による提供が可能となります。

 

「分譲マンションの総会」

分譲マンションの場合、国土交通省が令和2年7月にマンション管理の新制度の施行に関する検討会を設置して検討を進め、令和3年6月にマンション標準管理規約の改正が公表されました。

「電磁的方法による議決権行使」は、実際に組合員が出席する総会で、組合員が総会を欠席する場合に、議決権行使書や委任状による議決権の行使に代えて、管理組合のホームページに議案の賛否を書き込みする等インターネット等を活用して議決権を行使する方法です。

尚、この制度を採用するためには、規約の定めまたは総会決議が必要とされます(区分所有法39条3項)。

 

「自治会の総会」

自治会、地縁団体の場合、書面又は電磁的方法による決議の規定が創設、令和4年8月20日から施行されました。

本来であれば総会での決議事項について、総会を開催せずに書面又は電磁的方法による決議を行うことについて構成員に確認し、「全員の承諾」が得られた場合には、総会を開催せずに、決議事項についての賛否を問い、書面又は電磁的方法により決議を行うことができるようになりました。

しかし、書面又は電磁的方法による決議を行うことについて、反対が一人でもいれば、通常どおり総会を開催する必要があります。

更に、本来であれば総会において決議すべき事項について、「構成員全員」の書面又は電磁的方法による「合意」があり、当該決議事項について構成員全員の賛成の意思が確認できた場合には、当該合意をもって書面又は電磁的方法による決議があったものとみなすことができるようになりました。

しかし、その決議事項についても反対が一人でもいれば、通常どおり総会を開催する必要があります。

 

行政書士 入山太郎(筆者のプロフィールはコチラ)

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