今、世界のどの企業も「選択からの最大限の価値を引き出すのはどうしたらよいか?」ということを課題にしています。
今まではすでに私たちの経験値から選択すれば良かったことが、選択肢のない状態から選択を迫られ、新しい選択肢を一から自社で生み出さなくてはならない時代になりました。
私自身も、よく経営者の皆さんと20年前は、アメリカの色々な企業を視察していました。
アメリカの企業を見れば、未来の日本の進むべき道がぼんやりと見えたからです。
そのやり方を真似れば、日本の市場で通用することが多かったからこそ、アメリカの企業を何度も視察したのです。
もちろん、現在でも色々な企業を視察することは大切ですが、ただ単純にそのやり方を真似たとしても、それほどうまくいかないようになっています。
マーケットも違えば、社員の皆さんの能力も違い、ましてや「やり方」はすぐに古くなってしまうのです。
そして本業だけでの収益では、時代の変化や市場の変化に対応することが難しくなり、色々な事業を立ち上げ収益の柱を何本もたてなければ持続可能は組織とはなりません。
最近、経済圏をもっている企業の金融事業の参入もその1つと言えるでしょう。
では、「創造的なアイデアを生み出す天才」は社内に必要なのでしょうか。
いつの時代も歴史的な発明は「天才」が成せることで、ある日突然ひらめきがおこり劇的に時代を変えていくという物語を人々は好みますが、アイデアを生み出すプロセスは、誰でも開くことができます。
人は、まったく未知のものを生みだすことはなく、何かを生み出すときには必ず、すでに知っているものを意識的、無意識的に利用します。
つまり、新しいものごとは、それらをつくる要素が新しいのではなく、要素を組み合わせる方法が新しいということです。
イノベーションは、古いアイデアの新しい組み合わせ以外の何ものでもないのです。
フランスの科学者で数学者のアンリ・ポアンカレは、1913年の著書「科学と方法」の中で、よいアイデアを生み出す方法をこのように語っています。
「発明とは、無益な組み合わせを排除して、ほんのわずかしかない有用な組み合わせをつくることである。発明とは見抜くことであり、選択することなのだ」
どんな人でも無数の創造的な組み合わせは生み出すことができます。
但し、価値のある新しい選択肢を生み出すには、すぐれた洞察力が必要です。
そしてその組み合わせが「新規かつ有用なもの」でないと、お客様からは選ばれません。
1人1人の興味のアンテナを強化し、この組み合わせができる人材を育成することが組織の「発想の力」へ繋がっていきます。
新しサービスをつくるには、私たちが組み合わせるピースの質によって決まります。
だからこそ、多様な考え方と視界を外へと広げるのです。