パリオリンピックで、日本体操男子の団体が2大会ぶりに金メダル、個人総合でも内村選手、橋本選手、そして今回の岡選手と4大会続けての金メダルという素晴らしい瞬間を見ることができました。
今回のオリンピックも若い選手が躍動し、試合後には感謝の言葉が多く語られ、若い選手たちに日本の美意識を感じることができました。
元五輪銀メダリストの池谷幸雄さんが、テレビで日本体操の強さの要因を語られていましたが、その要因に、五輪メダルストのOBたちが、私財をかけて後輩育成に指導者として携わっていることがとても大きいとのことでした。
今回のパリオリンピックを見ている小学生や中学生も、いつか五輪へと夢をきっと膨らませていることでしょう。
オリンピックを目指せる選手でいられることは、多くの競技でとても短い時間で、たった4年であってもピークを過ぎてしまう選手は多くいることでしょう。
だからこそ、2連覇を成し遂げるには努力だけでは報われないことも。
人間の知能もある年齢からピークを過ぎ、そのピークをどのように乗り越えるかが、私たちの仕事にも大きく影響しています。
1971年、キャッテルは「能力:その構造と成長と作用」を出版し、「人には2種類の知能が備わっているものの、各知能がピークを迎える時期は異なる」と提唱しました。
1つめの知能が「流動性知能」です。流動性知能とは、推論力、柔軟な思考力、目新しい問題の解決力をつかさどる知能です。
革新的なアイデアや製品を生み出す人は、流動性知能が豊かです。
知能テストを専門としていたキャッテルの観察では、流動性知能は成人期初期にピークに達し、30代から40代に急速に低下しはじめました。
このことから、若い人は生まれながらにして、ゼロから新しいアイデアを生み出すのに最も向いているといえます。
そして、もう1つの知能が「結晶性知能」です。
結晶性知能とは、過去に学んだ知識の蓄えを活用する知能です。
この知能は成人中期から後期を通して上昇していきます。
まるで、流動性知能と入れ替わるように結晶性知能が上昇するのです。
つまり、若いときには地頭に恵まれ、歳を取ったらその意味と使い方が分かるようになるということです。
日本体操の強さは、この知能の変化と同じように選手とOBがうまく連携しているとも言えます。
スポーツ選手は、あきらかに体力の衰えや、自分のピークを感じることができるので新陳代謝がしっかりと行われています。
では、企業ではどうかといえば、なかなか新陳代謝が行われることが難しいのではないでしょうか。
企業内創業を20代や30代にチャレンジさせ、その力を活かしながら、40代、50代は指導やマネジメントにまわるということは知能の変化からみても正しいように思います。
私たちは「知能」を活かす「チーム」創りに着手する時がきたようです。