2024年1月の能登半島地震は、直接的な被災による影響だけでなく、交通や生活インフラの寸断などによって企業の生産・消費活動に幅広く悪影響を与え、今なお復旧活動が続いています。
その影響もあり近年、日本における防災意識は急速に高まっています。
国としても以前に増してBCP(事業継続計画)策定を強く推奨しています。
BCPとは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
つまり国レベルで「普段から準備しておかないと大変ですよ!」と呼びかけている訳です。
しかし現状は中小企業特に小規模企業にはBCP対策が進んでいません。
防災白書によると、中小企業のBCP策定率は全体で40%、その中でも飲食・サービス業は11%であり小規模になるとほとんど準備できていないのが現状です。
理由も明白でBCP策定のためのスキル・ノウハウ不足や・材や費用の確保が困難となっています。
そこで今回はBCP対策に至っていない小規模企業をターゲットとした「防災ビジネス」について考えてみようと思います。
防災ビジネスとして一番始めに思い当たるのは「防災用品の販売」です。
これは古くからある事業形態ですが、現代版または未来版の防災用品販売となると新しいビジネスが展開できそうです。
①水や医薬品という単なる「モノ」に留まらず、②デジタル技術による簡単な「BCPサービス」を組み合わせることで新たな価値が生まれます。
また③誰かとつながっているという「安心感」もこの分野では付加価値と言えます。
これら3要素すべてに共通できるキーワードは「交通事故24時間対応のネット損保」みたいな「不安解消」であり重要なキーワードとなりそうです。
一般的に防災業界における「モノ」や「サービス」は販売各社それぞれ進化しており多くの選択肢から選ぶことができそうです。
ただし、今回ターゲットを「小規模企業者」としているため選択の代行を誰かがしてくれる事もサービスとして有効です。
すなわち誰から買うかがポイントです。
この潜在チャネルを先回りして対策を構築することが「不安解消の選択肢」を売るという防災ビジネス成功のカギと言えます。
ここまでくると「結局誰から買うのか?」という問題に絞られます。
災害などの予測不能で不明確な漠然とした不安を解消するための「誰」をどう見つけさせるかが今回はイシューとなります。
近年は「コモディティ化時代」とも呼ばれ、商品やサービスの差別化が難しくなっています。
さらには、インターネットの普及によって、商品やサービスに関する情報は消費者自身が調べられるようになりました。
また、SNS上には実際にそれを使用した人の口コミなども溢れています。
そんな中で、消費者は「何を買うか」よりも、「誰から買うか」を重視していると言われます。
消費者は商品・サービスの背景にある「物語」を知りたがっているのです。
近年「共感マーケティング」が注目されているようになっています。
話をまとめますと、小規模事業者をグリップしている「誰か」から災害不安を解消する仕組みを買うことが合理的な購買行動となり、その誰かはいろいろ想像がつきますね。
私たちコンサルタントは小規模事業者の経営安定を支援するとともに、そこに生まれる新サービスを販売する「誰か」のビジネス支援も行います。
経済構造の中心に位置することもできるというと言いすぎですね。
中小企業支援ナビでは、今後現れる未知なる社会問題解決に向けたコンサルテーションにも力を注いでまいります。