営業マン研修で、よく受講生に相談されることは「どうしたらお客様と雑談ができるようになるか?」ということです。
雑談というと、天気の話やスポーツの話、時事ネタやあらゆるジャンルのちょっとした会話が必要だと思われる方も多いでしょう。
確かに、色々な知識ももちろん重要ですが、雑談のゴールは、相手の「苦しみや悩みを和らげる」ことであったり、「いい気分にさせる」ことです。
私たち日本人は、学生時代に社会人として一番大切な「コミュニケーション」について多くを学ぶことなく卒業してきました。
コミュケーションには「話す力」「聞く力」「プレゼン力」「ディベート力」などがありますが、「雑談力」は一番力をつけることが難しいかもしれません、何故なら、世界一「雑談」が苦手だと言われているのが日本人だからです。
しかし、雑談にはさまざまな効果があります。
雑談や会話など、話をすることは、脳内ホルモンを分泌させ、脳や身体の活性化につながると言われています。
気分のいい会話は、脳内に「ドーパミン」や「オキシトシン」「エンドルフィン」といった刺激、快楽ホルモンを放出させ、健康や幸せを高めてくれます。
コロナ禍、オンラインでの仕事が増え、確かにその時は便利でしたが、オンラインで、なかなか雑談がはずまなかったのは、人間は目が合わないと「共感」が生まれにくいという脳のしくみが影響していたからです。
この観点から、職場内の雑談は、人とのつながりを強化させ、イノベーションや助け合う機運が高まる結果に繋がるといわれています。
そして、リアルなコミュニティーをつくることには大きな意味があることが理解されるようになりました。
また、幸福学の観点からも、「人とのよいつながり」は、お金よりも幸福感や健康を決定づける一番大切な要因ともいわれています。
そのつながりは、一緒に過ご時間に影響を受けるそうです。繰り返し接すると好感度や印象が高まるという「単純接触効果」というものがありますが、「(仕事以外で、話したり遊んだりして)一緒に過ごす時間が、50時間で「カジュアルな友達」に、90時間で「友達」に、200時間で「親友」になれるという説もあります。
そう考えると、お客様との「雑談」はとても大切な時間だと言えるでしょう。
商品説明や、プレゼンの練習はできますが、雑談の練習はなかなかできません。
雑談力を高めるには、まずは相手に興味を持つこと、相手の話したい情報を伝えること、そして相手にとって意味のある質問をなげかけること。
そして大前提に、相手の話を一生懸命に聞くことが大切です。
人は、自分の話をしたい生き物です。
雑談は話を「する」よりも「させる」ことを意識して「何を言うか」よりも「どんな気分にさせるか」を何よりも最優先にすることです。
雑談にも筋力が必要で、意図をもって雑談することで筋力を高めていくことが大切です。
さあ、あなたの一声からスタートです。