グレード・リセットとはより良い世界をもたらすために、私たちの社会と経済のあらゆる側面を見直し、刷新すること。世界情勢の改善に取り組む国際機関である「世界経済フォーラム」が、2021年5月に開催するダボス会議のテーマを「グレード・リセット」にすると発表したことから注目を集められるようになった。
その前提には、「新型コロナウイルス感染症」や「雇用市場の変化」や「気候変動」などの問題が大きく影響している。
2023年、どのような1年になるかの予測よりも、どのような1年にしたいかを考え行動することのほうがいかに大切かを私は、この「グレード・リセット」の言葉に感じる。
人も、組織も、国でさえも変化することはとても苦手だ。
ただ、「グレード・リセット」をしなければ、今年もあらゆる問題が私たちの目の前に山積することは間違いない。
限りある時間の中で、どのようなことに時間をかけていくか、短期的ではなく長期的な視野で考えていく必要があるのではないだろうか。
今、日本企業が抱えている大きな問題は「今までの成功体験からの脱却」「若手や優秀な社員の離職」「なかなか進まない、イノベーションや女性躍進」など。
2023年も引き続きこの問題とは向き合わなければならない。
日本を覆う空気は、いつのまにか、「不満」から「不安」へと変化した。未来を描けない、漠然とした不安。
キャリアに関しては若手からシニアまで、自分の今の実力で本当にこれから長い時間、キャリア形成できるのだろうか、通用するのかという不安。
今日のこの仕事が、本当に未来に役に立つ経験や学びになるのかと。2023年からは、本当の意味での教育格差も広がっていくだろう。
20世紀にみられた、学生時代の偏差値格差というよりも、社会人になってからの自ら学ぶ機会をいかにつくり、活かしていけるかという教育格差だ。
学び続ける人は、どんどん未来を自分らしく生きるようになり、学びを止めた人は、現状維持という、なんの根拠もない現実にすがっていくしかない。
ただ、明らかに、もう現状維持はできない。
だからこそ、「今日、この瞬間」を大切に、自分がどのよう1日を過ごしたいのか、どのように成長していきたいのか、どのような
明日を迎えたいのか、1人1人が真剣に考え行動し、そして学びつづけ、自分なりの「グレード・リセット」を実現してほしいと思う。
2023年がスタートした。
今年も、初日の出を見ることができ、その太陽の光から元気をいただいた。
リクルートが2022年に実施した調査では、世界的に①株主資本主義からステークホルダー資本主義へといった動き②企業価値の源泉が徐々に財務資産から非財務資産へ③未来イノベーションの創出が必要であり、イノベーションを創出する人が生き生きと創造的に働く環境の整備へ④Z世代、アルファ世代のように社会的な感性が高い世代の人材確保と、社会的・倫理的な価値観をいかに経営に織り込むか、といったような変化がみられると分析されている。
「人材」から「人財」へ。人材にかかる費用は「コスト」から「投資」へ。
2023年、どのようなことをスタートしますか?どのようなことに時間をかけていきたいですか?
そしてどのように変化していきたいですか?
さあ、始めましょう。