昨年7月にカナダ・アメリカに行った際、その物価と賃金の差に驚き、
「日本の若者がワーカーとしてアメリカに出稼ぎに行く(異文化を知る、単純に英語を学ぶことも含む)ということも選択肢として十分ありだな。アメリカという国のポテンシャル、成長性をとても感じるので、自分が若かったら出稼ぎも悪くないなぁ。」
と思った記憶が最近思い出されるテレビ番組があったのでご紹介します。
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その番組は、“安いニッポンから海外出稼ぎへ” ~稼げる国を目指す若者たち~ (2023年2月1日 クローズアップ現代) です。
タイトル通り日本人が海外に出稼ぎに行く話です。
例えば、寿司専門学校の生徒は8割が海外志望で、アメリカのLA、カナダ、果てはポーランドにまで、卒業後に行くことが決まっている人がいました。
そして番組では、オーストラリアの地方都市の農園でブルーベリー農園で収穫のアルバイトをする日本の若者たちが紹介されていました。
1日 6時間 8時から14時まで 語学不要・経験不問でおおよそ月50万円稼ぐことができます。
その金額もさることながら、私が驚いたのはアルバイトに来ている人たちでした。
証券会社、不動産会社、看護師、小学校の先生、理学療法士、臨床検査技師、銀行員、、、日本で職が無い、職があっても食っていけない低収入、というような人たちではなく、ある程度勉強し大学を卒業し就職、能力とスキルを身に着けた人たちが海外にアルバイトに行っているということでした。
コミュニケーション力は高いし、なんなら言葉が話せなくても海外で働いてやる、能動的かつ主体的な感性を持った人たちでした。
次に紹介されたのは、シドニーの介護施設で働いている27歳の日本人女性の話。
脳神経外科の看護師として日本では働いていたそうです。
当時は、残業、残業、残業ばかりで将来について考える時間も金銭的余裕もなかったようです。それが今では、残業もなく、90万円/月の収入を得て、空いた時間に医学専門の英語を勉強し、将来の夢(大学院に進学して、いずれは日本で訪問看護ステーションを作りたい!)を目を輝かせて語っていました。
そして最後に紹介されたのは、日本の介護施設で働く23歳の技能実習生のベトナム人女性でした。
急激な円安となった2022年秋、彼女はそれまでよりも1万円多く仕送り(10万円→11万円に)するものの、 ベトナムドンに換算すると2割減になってしまうと嘆いていました。
それは、ベトナムで働く両親の1か月分の給料分に相当するということで、今のままでは日本に留まることはできないと話をしていました。
間違いなく、優秀な若い日本人(決して『テスト勉強ができる・いい大学を出ている』という話ではなく、前向き・主体性があって能動的な人材)から、徐々に海外に出て働こうという意思を持つだろうし、今後もどんどんそういう人たちは増えていくだろうと思います。
そして、海外(アジアの人たち、技能実習生も含めて)の人たちにとって、日本の魅力が急激に乏しくなっていることを痛感しました。
日本に来る人の母数は今後間違いなく減るし、必然的に優秀な人材もますます少なくなるだろうと思います。
会社にいてほしい人材(能動的、主体性がある前向きな人材)が貴重であることは言うまでもありません。
そういう人材に会社に来てもらうためには、活躍してもらうためには、そうではない大多数の人達(受動的、主体性がなく現状維持思考な人材)との評価・処遇の差を明確につけていく必要があると考えます。
でなければ、日本にいる意味は全くなく、海外への道も拓かれている現在、優秀な人達はより一層日本からいなくなると考えられます。
それは日本人だけではなく外国人材にも言えることです。
外国人材も、ワーカー・作業者として扱っているだけでは、本当に日本にいる意味を見出すことはできません。
日本人と同等、それ以上に本当に優秀な人材を能力主義で客観評価していかなければ、日本人だろうが外国人だろうが日本で働く優秀な人というものが早晩日本からいなくなってしまうことは間違いないと言えます。