「従業員の働き方を変える=働き方改革を推進する」ことは、時代の要請でもありそれを表立って否定する会社は少ないのではないかと思います。
しかし本音では、「就労時間が減るからアウトプット(成果・利益等)が少なくなってしまう」「人手が足りないって言っているのに、余計に生産能力が落ちてしまう」さらには「残業できなくなると、手取りが減って、余計に従業員のモチベーションが下がってしまう」なんてことを思っている経営者・経営陣も多くいることは間違いないでしょう。
あるいは、「顧客満足を追求する」「顧客第一主義」「顧客の利益最優先」等を否定する会社はないでしょう。
むしろ、経営理念やミッション等に積極的に掲げている企業が多く存在します。
しかし実際には、「もっと価格を下げろと言ってきた」「明日までにもってこいと言われている」「もっと品質を良くしろというがどう見ても過剰品質」等、顧客に対する不平・不満を持っている会社も数多くあります。
“働き方改革を推進することは、アウトプットが減ることに繋がる”
“顧客満足を追求することは、コストアップにならざるを得ない”
大体の会社は、「これらはトレードオフの関係性にある」、「二兎追うものは一兎も得ずだよね」、「きれいごとばかりでは会社経営などできない」と、表立っては言いませんが深層心理ではこのように考えているのではないでしょうか。
ただただ働く時間を減らせ、だけではアウトプットは減ってしまいます。
それは生産性の向上ではなく単なるコストカットで従業員のモチベーションは上がりません。
また、ただただ顧客のわがままに付き合っているだけでは、従業員は疲弊するばかりです。
しかし世の中の企業は皆そうなのでしょうか?そんなことはありません。
「顧客満足を追求」するために、「メンバーの働き方を変え」、生産性を向上させて、本当の意味での顧客課題を解決している企業があります。
決してトレードオフの関係になっていないのです。
そしてそれは大企業だけの話ではありません。
中小企業、しかも一般的には競争環境が厳しい、あるいは大企業との取引の中で、下請的関係性になってしまうことが多い業界においても、持続可能な競争優位性を築き、大企業顧客と対等、あるいは対等以上に頼りにされている企業はあるのです。
そういった会社は稀ですが、経営陣はもちろん、マネジメント層も、そして一般従業員に至るまで、「顧客満足を追求する」→「生産性向上、効率化が社内で進む」→その結果、「自然と従業員の働き方も変わっていく」という共通認識を持っているように感じます。
そのような会社は、本当に強いです。
一般的なトレードオフの関係性にあることを“当たり前”に受け入れ、「しょうがないよね」「きれいごとだよね」で片づけてしまっている会社は、いつまでもそこに到達することはできません。
いずれ競争力を失い、時代の要請に沿った柔軟性や創造性を欠いた組織文化に閉じこもってしまうことになるでしょう。