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OEM製造業者によるオリジナル開発商品投稿日 | 2023.8.10

 

最近、OEM生産で高い業績を挙げている製造業者が自社オリジナル商品へチャレンジするケースに多く出合います。

 

懇意にしている自動車部品製造会社の社長さんからこんな相談がありました。

「当社オリジナルキャンプ用品を開発したのですが、あまり売れません!」

詳しく話を聞くため会社を訪問し全体像から徐々に把握していきます。

従業員規模200名、創業70年、自動車メーカー5社と取引、財務内容は超健全です。

 

ストレートに「なぜ自社企画品を始めたのですか?」に「社員のやる気アップ事業」の一環で新規開発企画チームを2年前に作り、そのチームからの提案で今回のキャンプ用品販売が実現したようです。

何となく責任があいまいな雰囲気を感じますが、もう少しヒアリングで深堀りをつづけます。

 

今回のケースもそうですが、そもそも自社開発とは何を指すのでしょう?

「自社開発とは、自社の商品やサービスを、アイデア、企画や設計から開発まですべて自社内で行って販売することです。つまり他の企業などからの依頼ではないことが大きな特徴。」と言えます。

なので他社で製造しても問題ありません。

 

では自社開発のメリットについて探っていきましょう。

メリット1:自分たちの好きなチャレンジがしやすい

自社開発のメリットに作りたいモノにチャレンジしやすいことが挙げられます。

自社製品の開発業務となるので自分自身のスキルや夢を試せる場となり、新しいチャレンジがしやすくなっていて開発者にとってのモチベーションが高まります。

 

メリット2:時間の制約が少ない

自社開発は自社での開発となり、受託開発のように請負ではないので納期に期限がない場合もあり、スケジュールに余裕を持たせながら作業に取り組むことができます。

納得のいくものを時間をかけて作っていけます。

 

メリット3:ユーザーの反応を反映できる

ユーザーの反応を反映できることも自社開発のメリットです。

自社で開発していく商品なので、直接ユーザーの声が届きやすくなっており、集めた意見を開発する商品に反映していくことができます。

 

メリット4:得意分野で戦える

これまでの自社製造ノウハウが存分に活かせることが挙げられます。

自社開発は、既存事業の強みや弱みを知り尽くした上での開発となるためある程度の販売予測を立てながら開発コストが低減出来ます。

 

メリット5:商品の販売利益が大きい

自社開発のメリットに開発した商品の価格決めに関わることができる点があります。

自社開発した商品は開発した会社がチャネルを作り、保守、運用していくことになるので、BtoCであれば尚更、大きな利益を得られることができます。

 

一方デメリットもあります。

デメリット1:仕事の時間が限られる

開発に使う仕事の時間が限られることが挙げられます。

比較的規模の大きな会社では、専任開発担当になりますが、多くの中小企業では本来の仕事との兼務の場合があり、繁忙期には開発がストップするなど、のびのびと仕事ができないことがあります。

 

デメリット2:自分で決める必要がある

仕事をしていく上で、ある程度自分で決めていく必要があることが挙げられます。

自社開発をする場合、自分で責任を持って作業工程やスケジュールを決めていく必要があるので、これまでにないスキルや責任感が必要になります。

 

デメリット3:利益を出すのが大変

企業なので当然利益追求を目的に活動することになり、利益を出すのが将来の目標となることが大変な点が挙げられます。

またマーケティングのスキルも同時に必要とされるため、初めてのチャレンジで利益を出すのは容易ではありません。

 

デメリット4:アイデア出しや情報集めや努力が必要になる

アイデア出しのスキルアップや情報集めの努力が必要なことが挙げられます。

自社開発商品は新しい技術やデザインが求められるので、常に自分でITスキルを更新したり、情報誌やニュースなどで情報を集めたりする必要があります。

 

デメリット5:会社が決めた予算内で開発しなければならないこともある

自社開発のデメリットに会社が決めた予算内で開発しなければならないこともあります。

やりたいアイデアがあっても、会社が決めた予算や決め事の中で開発を進めていく必要があり、仕事自体が窮屈に感じることがあります。

 

さていかがでしょうか?一通り議論が終わって社長さんに再度尋ねます。

 

「御社にとってのオリジナル商品開発の狙いは何でしょうか?」本当の理由を考えていただきました。

すると驚きの事実です!「せっかく新規開発企画チームが初めて考えた商品なので作らせてあげたかった!」が本音のようでした。

それで社員のモチベーションアップや部署間交流になれば別の意味で成功です。

この開発パターン、実は結構多いんです。

 

でも次回は本当に売れるキャンプ商品を本気で開発してみませんか?という事で時々開発チームのミーティングに顔を出すこととなりました。

開発好きのコンサルタントさんが見えましたらぜひ応援お願いします。

 

中小企業診断士 長谷川雅彦(筆者のプロフィールはコチラ)

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