「私は?委託先は?フリーランス?」
本年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第 25 号、
以下「フリーランス法」)」が施行されました。
世間一般には関心が薄いのか、マスコミでも取り上げられるケースは、思った以上に少ないように思えます。
前回の記事でも述べましたが、多様な働き方が認められるようになり、社会問題として放置できない為、フリーランス法が公布、施行となりました。
11月末頃、雑貨を輸入販売をひとりで切り盛りするAさんから「私はフリーランスなのでしょうか?」という相談を受けました。
また、スポーツ用品の製造、販売をしている甲株式会社からは「デザイナー10人ほどへ、デザインを委託している。ヒアリングしていないのでわからないが、殆どが個人で営んでいると思う。当社も含め、フリーランス法の適用になるか?」との相談です。
フリーランス法ではフリーランスを「特定受託事業者」と言います。
そして、適用となる者の定義を定めています。
定義に当てはまれば、業務委託取引においてフリーランス法上、保護の対象となります。
「フリーランス法の適用」
フリーランス法では、①業務委託、②受託する事業主が従業員を使用していない場合が適用対象となります。
「業務委託」とは、事業者がその事業のために、他の事業者へ物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託する行為です。
委託とは、物品・情報成果物・役務の仕様・内容等を指定してその製造や作成・提供を依頼することです(法第2条第3項)。
つまり、事業者間(BtoB)における委託取引が対象ということが言えます。
「従業員を使用していない」とは、正に一人の「個人」(法第2条第1項第1号)として業務委託を受ける特定受託事業者と、従業員を使用して「組織」として業務委託をする特定業務委託事業者との間の業務委託に係る取引に適用されます。
個人と言いましたが、一人会社、つまり社長が一人で従業員を使用していない会社であれば、特定業務受託事業者法第2条第1項第2号)です。
因みに、従業員を使用しているケースとは、週所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇用していることをいいます。
「取引の適正化にあたり」
先のAさんの例では、業務委託に該当するのかが問題となります。
一見フリーランスと思えるかもしれませんが、法でいうところのフリーランスとは、異なります。委託を受けずに、自分で輸入したものを自分で販売している場合、業務委託とは言えません。
また、甲株式会社の場合、正確にヒアリングを行う必要があるでしょう。
フリーランスに対し業務委託をした場合、フリーランスの給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければなりません(法第3条)。
その他、取引上に規制されることが多々あります。紙面の関係上、次回といたします。
出典、参考資料
「2024年11月1日からフリーランスの方のために、新しい法律がスタートします。」公正取引委員会
URL:https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/
「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」厚生労働省