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産業廃棄物処理業と環境保全協定投稿日 | 2024.4.10

 

「そのクライアント様、リピーターにつき」

当職開業後、産業廃棄物処理業に関する手続きサポート数は延べ三桁超を数えます。

ということは、許可権者、即ち都道府県、政令市数も相当数に上り、各団体での対応の差が少なからず存在します。

各団体の根拠法であります「条例」が異なるので当然なのですが、一般の目に触れることのない「運用」も幅を利かせていますので、手続上困難な局面に当たることもあります。

この度のクライアント様、約20年前に産業廃棄物処理業に関する中間処理設置に関し、各種環境に関する手続きのサポートをさせていただきました。

更にその後、愛知県下に二箇所の中間処理施設を保有し、事業範囲は東海三県を中心に事業範囲を拡張されてきました。

今回のメイン相談は「産業廃棄物処理施設の新規設置を計画しているのですが、A市の条例に対応出来ず困っています」ということでした。

調べてみますと、20年前には無かった条例が平成28年に施行され「環境保全協定の締結」が求められるようになったのです。

 

「大きなハードル」

産業廃棄物処理業許可申請の大きなハードルとして、事業者側の事情によらないファクターがあります。

つまり、法令書類や添付書類等は、準備さえ整えば事業者側で何とかなるのですが、第三者の意見を要するような条例ストラクチャーがある場合、その意見が事業拡張に大きな影響を及ぼすこともあるので。

第三者とは、専門家、特殊な機関等いろいろとありますが、中でも合意形成を必要とする「住民説明会」は真に手強い相手とも言えるでしょう。

「環境保全協定の締結」を必要とするA市の条例は、「住民説明会」の合意形成を経て協定を締結、更に環境調査を要するというロジックを組んでいました。

 

「環境保全協定」

廃棄物処理施設の設置、維持管理等にあたって、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るために、当該施設の設置に関し生活環境保全上の利害関係を有する地元住民等と当該施設の設置者(事業者)とが取り交わすものが「環境保全協定」です。

協定は、地元住民等と事業者とが相互に対等な立場で結ぶ約束事です。

地域の実情、廃棄物処理施設の種類、処理される廃棄物の種類等に応じて、その内容は変わります。どんなことを取り決めるかは当事者間で話し合いを行います。

期待される効果は、法律や条例では規定することができない事項について、事業者の任意の協力で実現可能となります。

例えば、環境調査の頻度や、施設内の立ち入り調査等です。

これにより、環境保全が図られ、地域住民と事業者が信頼感に基づき良好な関係を築くことにもつながると期待されています。

行政書士 入山太郎(筆者のプロフィールはコチラ)

 

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