


先日、中小企業の社長とその会社の未来について話合う機会がありました。
社長によると「現在の事業だけでは将来先細る」という確信の下、今のうちに新事業を立ち上げ、2本目の柱を作っておきたいそうです。
話の流れとしては自然な発想ですが「何」を柱とするのか見極めが重要です。
当社は大まかに言うと自動車関連産業に属しています。
自動車関連の衰退を想定している理由としては少子化と海外生産です。
そして社長が掲げた2本目の柱がなんと「社会問題解決型ビジネス」なんです。
素晴らしいですね!と言いながら、つい「本気ですか?」と口から言葉が出ました。
なぜなら私には「実現が難しそうな理想の姿?」のイメージが先行していたためです。
社会問題にはいろいろありますが、社長が考えた新事業は国内の医療費全体を引き下げるための「高齢者健康ビジネス」です。
つまり流行りの※ゼブラ企業になりたいのだそうです。
※ゼブラ企業とは、2017年、米国の4人の女性起業家が提唱した概念で「ユニコーン企業(急成長・高評価額を狙うスタートアップ)」のアンチテーゼとして登場しました。
白黒の縞模様を持つシマウマを象徴に、社会性(黒)と経済性(白)の両立を表現しています。
その特徴としては、「社会貢献を目的に事業を展開」つまり利益よりも社会課題解決を優先する企業です。
これを聞くと余計に心配になりました。
そこでゼブラ企業を調査し当社にも可能性があるかどうかを社長と一緒に研究することになりました。
国内でのゼブラ企業の成功事例としては、まずボーダレス・ジャパンが取り上げられます。
この企業は、社会起業家を支援するプラットフォームを展開しており、世界中で社会課題解決型ビジネスを立ち上げ、現在40以上のグループ会社を展開中です。
グループ総売上も100億円を超える勢いです。成功のポイントは起業家同士のネットワークを活かし、資金・ノウハウ・人材を共有する仕組みを構築した点です。
次の事例はHelloWorldです。
外国人宅でホームステイを体験できるEdTechアプリを展開。
特徴は国際交流を通じて教育機会を提供。
成功要因としては地域の家庭を巻き込み、教育と文化交流を両立。
留学に行きたいと思いながらも、お金や時間がなくて諦めている子供たちに国内に住む外国人のお家でホームステイの機会を提供する仕組みです。
その他続々と新しい考えやテクノロジーから新サービスが生まれているようです。
こうして多くの企業が独自アイデアで社会課題解決と収益モデルの組み合わせに挑戦しています。
さて本題です。
社長の目指す社会課題解決についてあらためて議論しました。
「高齢者健康ビジネス」は概念が大きすぎて「国の仕事」レベルです。
当社の扱う課題ではないように思えてきました。
そこで具体的なビジネスモデルに落とし込み、結果的に高齢者の健康につながる商品・サービスからチャレンジを開始してはどうかというアドバイスをすることとなりました。
自動車関連産業を営む社長が次の時代にむけて社会課題解決ビジネスを目指すのは、素晴らしいチャレンジです。
しかし一方で未知の世界に手持ち資金を投下し成功率も分からずに突っ込むことが責任ある社長の対応とは言えません。
このような場面で有効な選択肢のひとつに外部コンサルタントがあります。
社長の想いと会社の実情を知った上で冷静な助言を行う参謀として活用してみてはいかがでしょう。
因みに先ほどの社長は私の話を聞いた上で「やり遂げる!」と言ってました。
社長の意志というのは、どんな理屈よりも強いことを実感させられる一日でした。