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A4・1枚の企画書は本当に正しいのか?投稿日 | 2024.8.31

 

 

広告代理店という仕事柄、提案内容を分かりやすく伝える上で「企画書」は必要不可欠な書類です。
しかし、「魅力的な企画書の書き方が分からない」若しくは「企画書を提出しても却下されてばかり」とお悩みの方も多いでしょう。近年では企画書制作のため考案されたテンプレートやチャットGDPなどのAIツールを使って素早く資料制作をされる方も多くなりました。でも、企画書の根源はお客様の思いや考えに『共感し・提案し・行動する』ことです。魅力的な企画書の書き方を知りたい方は今一度、作り方・考え方を見直してみましょう。

 

 

「企画書はA4・1枚」という呪縛

数年前から「企画書はペラ1枚」というフレーズが流行りました。「1枚企画書」とは、A4またはA3・1枚にシンプルにまとめた提案書のことで「ペライチ」「トヨタ式」などとも呼ばれます。たしかに従来の企画書は、無駄な資料や説明ページが多く「何を訴えたいのか」が分かるまで時間がかかり過ぎていました。孫正義社長率いるソフトバンクでは「最初の10秒で彼の気持ちを掴まなくてはだめ」ということで、企画書は「結論を最初に・内容は簡潔に」したA4・1枚にまとめることが徹底されていたそうです。確かに1枚企画書であれば、提案の核心を早々に伝えることが可能ですし、何より伝える側に「企画の要点を極限まで整理する」という意識が芽生え、提案内容がよりブラッシュアップされるというメリットがあります。しかし、その真意とは反して実際の現場レベルでは「企画書はA4・1枚」というルール(呪縛)だけが一人歩きして、提案内容全体のレベルまで下げてしまっているのではないか、と危惧しています。

 

 

“ペライチ企画書”にすることが目的になっている

お客様(クライアント)に“10秒もあれば理解してもらえる” A4・1枚で提案・説得するためには、緻密な構成や意識的なキャッチコピー、企画の要点の絞り込み・単純化する作業が絶対必要です。その業務だけでも高い技術が求められ、企画書制作のハードルはさらに高く・困難になることでしょう。結局、詳細を説明するために分厚い「別冊資料」を別途制作するなど、本末転倒な事態になることもしばしば。しかもほとんどの「1枚企画書」は情報が詰まりすぎているため、見づらいく分かりにくいというのが現状。簡略化を目指した割に、労力に呈する自己満足しか残せないという状況が生まれてしまっています。

 

 

退屈なストーリーは誰も読まない

“退屈なプレゼンあるある”として、参加者が説明前に企画書をどんどん読み進めてしまう、というのがあります。プレゼンの場に立っている者としてはプレッシャーでしかありませんが、そもそも企画書にそれだけの“魅力”が無かったという証拠かもしれません。面白くない物語は、聞いている側にとっても苦痛でしかないのです。プレゼンで「A4・1枚」にすれば、確かに互いの時間を節約できるかもしれません。ただそれで、本当に面白い(有益な)ストーリーを伝えることができるでしょうか? (そもそもパワーポイント等で行うプレゼンの場合、A4とか1枚と言うサイズ認識事態がない気もしますが・・)。問題は企画書のサイズにあるのではなく、「企画自体をエンタメとして、どう読ませるか(伝えるか)」にあります。既存のテンプレやAI ツールに落とし込んで、体裁だけ整えた企画書を読んでワクワクする人はいません。提案者の思いや考え=熱量みたいなものが込められた企画書は(内容はともかく)確実に人の目を引き、最後まで話を聞いていただけるでしょう。私が思う良い企画書のバランスは、70%のロジックと30%のエモーションだと考えています。企画内容はもちろんですが、聞き手(クライアント先)のハートを動かす“何か”を記した企画書だけが、次の扉を開ける鍵になると思っています。

 

 

WEBコンサルタント 山崎  功晴(筆者のプロフィールはコチラ)

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