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センスの時代投稿日 | 2022.12.28

 

●特別な才能ではない「センス」の正体。

 

デザイナーという仕事柄、デザインやアートに関する質問を受けることがありますが、質問の際に多くの人が決まって「私はセンスがありませんから。」と謙遜されます。

特別な人だけが持つ才能のように思われている、この「センス」とは一体何なのでしょうか。

「くまモン」アートディレクションなどで有名なデザイナーの水野学さんは著書の中で、センスは知識の蓄積と言っています。

例えば、どんなにファッションセンスが良い人でも、生まれつきお洒落だった訳ではありません。

洋服に興味を持ち、ファッションに関する知識や経験が自然と増えたことでTP0に応じた最適なセレクトができるように成長したのです。

つまり“センス”とは、豊富な知識をベースに物事を最適化する能力。

「好きこそ物の上手なれ」という言葉の通り、好きなことだからこそ情報が集まり、他の人にはない「センス」を発揮できるようになったのです。

 

 

●「センス」を磨く第一歩は、普通を知ること。

 

数値として測ることができない感覚だからこそ、「センス」は特別な人にだけ与えられた天賦の才能だと思われてきました。

ただ本当に「センス」が誰でも持っている感覚なのだとしたら、どのように育てたら良いのでしょうか?

著者である水野学さんは、センスを磨く第一歩として「普通を知ること」を推奨しています。

自分の中に「普通」という定規を作り上げることで、初めて良いとか悪いという判断できるようになるのです。

さまざまな経験や知識を重ね、時間をかけて目を肥やすことで、あなたの中にある「普通という定規」は揺るぎのないものとして磨かれます。

時短化が進み、直ぐに結果が求められる時代において「普通=揺るぎない審美眼」を育てることは、センスを磨く以上に難しいことかもしれませんが、この確かな目こそ今の時代に求められているのだと思います。

 

 

●量より質。そして、質より「センス」の時代へ。

 

社会が豊かになり、すべての家庭に“モノ”が行き渡るようになると、消費者の多くは「量より質」を求めました。

かつての「メイド・イン・ジャパン」のように、より高品質な商品が世界中で持て囃されました。

しかし、その競争も行き着くところまで進み、機能、品質、ブランド力といった高付加価値商品ですらコモディティ化が進んでいます。

そんな消費疲れの市場の中で唯一気を吐くのが「センスのある商品」です。

数あるスマートフォンの中でiPhoneだけが突出して売れ続けているのは何故か?

使い心地や品質面だけなら他社の機種でも大差はないはずです。

そんな中でも多くの人が“何となくiPhoneがいい”と思うのは、そこに「センス」があるからです。

情報が溢れ、選択の幅が爆発的に増えた今の時代は、言い換えると「技術が頭打ちの時代」でもあります。

私たちは今後、あらゆるビジネスの場面で技術をうまく活用する「センス」というスキルが求められてきます。

「クリエイティブな仕事じゃないからセンスなんて必要ない」とは言えない時代が、もうそこまで来ています。

 

デザイナー 岡田浩隆(筆者のプロフィールはコチラ)

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