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地域課題を解決する新たな担い手投稿日 | 2023.7.31

 

「学童保育等の事業を法人で受けたい」

今年は統一地方選挙の年でした。

選挙運動中あぶり出されるものとして、社会問題や地域課題(以下「諸問題」)があげられます。

それらは本来、国や地方公共団体(以下「国等」)が取組み解決すべきとも考えられますが、実際はマンパワーやノウハウの不足等で対応がいきわたっていません。

また、法律や条例の制度の空隙により、諸問題に対応が出来ない場合もあるでしょう。

 

そこで諸問題に対しは、利害関係人や各地域住民等が法人や任意団体を構成し活動、対応を行っているのが現状です。

冒頭の学童保育等の事業を行っている相談者も、任意団体として活動を行っていました。

 

相談の第一声は「NPO法人を設立したい」です。

諸問題に取り組むのは、一種の社会貢献でありその担い手としてNPO法人は決して間違いではありません。

しかし、設立までの過程や準備、設立後の事務等の大変さやボリュームは2022年11月20日のコラム(「NPO法人と一般社団法人」法人制度の選択)でお伝えした通りです。

 

「任意団体では都合が悪い」

諸問題に取り組む団体はその事業内容が一種の公共性を帯びており、国等との関係は不可分と言っても良いでしょう。

また資金の手当てを助成金等で賄い、寄付金を募ったりしつつ事業を運営する団体が殆どでしょう。

多くの団体は、その関係者が手弁当で事業を支えています。

任意団体が直面する課題として、事務所の賃貸借、ネット回線等の諸契約や、国等や企業等と団体として契約をする場面が少なからず出てきます。

法人格があると団体名義で契約ができますし、団体名義で預貯金の口座開設が容易かつ資産等の保有も可能です。

更に、助成金や国等からの委託事業を受ける場合「法人格」が応募条件になっているケースが殆どでしょう。

そして、何と言っても「信用力」つまり責任の所在が明らかになることで、取引先が安心できます。

 

「新たな法人制度「労働者協同組合法」の登場」

新たな法人制度として令和4年10月1日から「労働者協同組合」が設立できるようになりました。

今までは、社会貢献や公益を目的とする活動を行う法人は、NPO法人か一般社団(財団)法人の二択(もっとも、学校法人等の特殊法人も存在しますが、それらは特殊なケースです。)と言っても良いでしょう。

「労働者協同組合」の特色は、発起人は三人以上で良く、NPO法人(認証主義)や企業組合(認可主義)とは違い、行政庁による許認可等が不要で、法律の要件を満し登記をすれば法人が設立(準則主義)できる点です。

 

根拠となる労働者協同組合法は、第三条に基本原理その他の基準及び運営の原則を定めています。

そこでは「基本原理に従い事業が行われることを通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものでなければならない。」と定められています。

 

基本原理とは、

①組合員が出資すること。

②その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること。

③組合員が組合の行う事業に従事すること。

の三つです。

 

諸問題に取り組む団体の法人設立の選択肢に「労働者協同組合」が加わったことは、大きな意味を持つものと考えられます。

この制度の発展により、今後労働者協同組合法人が多くの諸問題解決に寄与することに期待したいと思います。

 

参考HP 厚生労働省「知りたい!労働者協同組合法

 

行政書士 入山太郎(筆者のプロフィールはコチラ)

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