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DXは自社開発がオススメ投稿日 | 2023.7.20

 

ITシステムの自社開発の話しです。

自社開発なんて大企業の話では?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

でも、中小企業でも自社開発が当たり前の世の中になりつつあります。

その重要性と効果について今日はご紹介したいと思います。

 

ITシステムの開発手法は大きく分類して二つあります。ウォーターフォール型とアジャイル型と呼ばれるものです。

 

ウォーターフォールとは滝のことですが、システム開発を階段上の滝を水が流れ落ちる様子に例えたものです。

この階段がITシステム開発の工程を表します。

一例を示せば「要件定義」、「外部設計」、「内部設計」、「プログラミング」、「単体テスト」、「連結テスト」、「データ移行」、「ユーザーレビュー」、「並行稼働」、「本稼働」のような工程を順番に完成させて次の工程に進むものです。

この手法は合理的であり、もともとITシステムは全てこの手法で開発されていました。

 

これに対しアジャイルとは、機敏な、素早いという意味ですが、要件定義を詳細な部分まで決めずに概略のシステムを素早く開発して、ユーザーに触ってもらい、ユーザーからより細かい要望を出してもらい、それを再度素早く開発し、ユーザーに再度触ってレビューしてもらい、修正点があれば再度開発するという手順を繰り返すという開発手法です。

なぜ、アジャイル型の手法が始まったのかというと、システム開発者は通常、ITシステムユーザーではないため、業務内容に精通していないことが多く、ウォーターフォール型での「要件定義」でユーザーの要望を十分反映できず、システムがほぼ出来上がって「ユーザーレビュー」の段階で要件の不十分さが判明し、開発を最初からやり直す(手戻り)、あるいは不十分な機能のまま稼働を開始せざるを得なくなるという事態が多発しました。

これを改善するため、アジャイル型はユーザーレビューを頻繁に行い、手戻りや機能不足を防止する手法として普及したもので、多くの場合ウォーターフォール型より低コスト、短期間に効果を上げるITシステムの開発手法として普及してきました

 

しかし、我が国では欧米など諸外国に比べてアジャイル型の開発が遅れています。

それはアジャイル型ではシステム要件を初期の段階で決定することができないので、請負契約には不向きであり、準委任契約となるためベンダー、ユーザー双方避ける傾向があったためです。

それに対し諸外国は自社開発する場合が比較的多く契約の問題が発生しなかったためアジャイル型が普及したと考えられます。

 

なぜ、諸外国は自社開発を多くできたのでしょうか。

諸外国にも中小企業はたくさんあります。

それは諸外国ではITエンジニアをシステム開発プロジェクトの期間だけ雇用し、プロジェクトが終了すると、ITエンジニアは別の会社のプロジェクトへ転職するという人材の流動性が高く、雇用環境がそもそも異なることが理由と考えられます。

 

このような社会構造的な原因のため、自社開発のアジャイル方式のITシステム開発は我が国ではあまり普及していません。

ところが近年、ローコードツール、ノーコードツールと呼ばれる新しい技術によるツールが出現しました。

これは、情報工学を勉強したITエンジニアでなくても、専門的なプログラミング技術がなくてもITシステムを構築できるというものです。

つまりこれらのツールを使えばITエンジニアを雇わなくても自社のメンバーでシステム開発が可能となり、低コストで早いアジャイル開発が可能となる訳です。

 

ローコードツール、ノーコードツールのベンダー各社は自社のツールを使いこなせるための講習コースを開設しています。

数日の講習受講とフォローの都度質問サービスで今までITシステム開発未経験者の業務システムの開発が可能となる時代となりました。

一部の複雑なロジックが必要な業務システム以外の多くの業務システムは自社開発可能となりました。

今までベンダーに高額な開発依頼をしていた、あるいは使いにくいパッケージソフトを我慢して使っていた状況から脱却し、自社開発のアジャイル型開発でDX化をますます進めましょう。

 

さらに、厚生労働省の人材開発助成金に「事業展開等リスキリング支援コース」が設置され「企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化を進める場合にこれに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練」が対象となりました。

「能力開発計画」等の申請書類も大変簡素化したとのことです。

労働局でも相談窓口の体制を強化したそうですので、ぜひ相談されると良いと思います。

 

日本ディープラーニング協会CDLE(シードル)メンバー 吉田信人(筆者のプロフィールはコチラ)

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