


事業承継の支援をしていると、社長を交代した後の引退社長が思い描く未来について触れることがあります。
つい先日は、70歳近くになる引退社長からお聞きすることができました。
「佐原さん・・・ これまで自分は毎日朝早くから夜遅くまで働き詰めで、思うようにレジャーをする時間もなく今まで過ごしてきてしまいました。
本当は、国内旅行や温泉へ出かけたり、キャンプに出掛けたり、そんな余暇を楽しむ日々をずっと前から夢見てきたように感じています。
この歳になると、自分にはもう残り時間は少ないように感じるのです。
生きていられたとしても、健康でなければ余暇や旅を楽しむこともままなりません。
そうした健康寿命のなかで本当に自分が楽しみたいことをやっていこうとしたら、残り時間は少ないのです。
ですから、もう社長業を早く引退したいと今は思えるのです。」
こうしてお話をお聞きしたとき、佐原の立場ではできるだけ早く、この社長の引退=事業承継の道筋を、それも会社の関係者になるべく波風立てず平穏に進めたいとの思いを強くしました。
事業承継の経営支援をするなかでは、現社長がなかなか引退を決断せずに後継者がリーダーシップを発揮できずに苦労するパターンがある一方で、こうして社長自身が自分の引退を早くしたいと願うパターンもあります。
佐原が今まで見てきた数百件以上の事業承継の現場では、どちらかというと先述の社長のように自分の描く社長引退後のイメージが明確になっていて、早めの引退を決意して進めるほうが上手く進むことが多いように感じています。
勿論、そうした早めの引退ができない心理的な事情や、財務上の課題、後継者の問題などがあるからそれが叶わないのでしょう。
視点を変えれば、「後継社長は社長に就任したその瞬間」に、自分の社長人生をどこまで、どの程度まで進め、どの時点で、どのように社長引退をするか、という社長業の中長期計画を描くことが大事なことになるのです。
その中長期計画の通りに進められるか否かは次の問題としても、自分の社長人生をどのように全うするかということが描けていることで、自分の引退の為所をより良い形で実現できるように思います。